足羽渓谷の「かずら橋」を訪ねて
北陸新幹線が敦賀まで延伸したことをきっかけに、福井県では観光情報の発信が活発に行われている。そんな中、ふと目にしたのが、足羽渓谷に架かる「かずら橋」であった。過去に四国の祖谷渓にあるかずら橋を訪れた経験があり、機会があればこちらも訪れてみたいと思っていた。毎日の暑さで引きこもりがちな生活を送っていたが、かずら橋のある鯖江市は家からわずか130mほどの距離にある。涼を求めて、ようやく腰を上げる決心をした。
かずら橋のある場所までは、広い道路を快適に走ることが出来た。あっけなく到着したためか、神秘さに欠けるようで少し物足りない気もしたが、それは贅沢な感想であろう。駐車場から少し歩き、矢印の示す方を見下ろすと、眼下の川につり橋が見えた。この橋は全長44m、幅1.8m、高さ12mで、鋼鉄のワイヤーを主構造とし、かずらを巻き付けるという技法で造られている。5年に一度補修が行われ、10年ごとに全体が巻き直されるそうだ。使用されているかずらはシラクチカズラというつる草で、直径10-40mmのかずらを計6500m使用しているという。しかし、このシラクチカズラは池田町にはなく、和歌山県から取り寄せたものであるらしい。
口コミでは、橋の踏み板の隙間が広く、スリルがあると書かれていた。実際、橋の中頃にいた女性二人は足がすくんでいるように見えたが、よく見ると足元の準備が十分ではなかったようだ。揺らすつもりはなかったが、私も渡ってみたかったので、つり橋を歩き始めた。板の隙間は確かにあるものの、スニーカーを履いていれば難なく渡れる。下に見える清流を写真に収める余裕さえあった。ただし、スマホを落とすと厄介なことになると、少し慎重になった。
かずら橋は、渡る際のスリルと、その優美な姿を眺める楽しみがある。
急な階段を降りると、足羽川の川辺に降り立つことができる。水辺の近くには遊歩道が整備されており、川の水に手を浸してみたが、思ったほど冷たくはなかった。川幅は狭いものの、奥入瀬渓谷のミニバージョンといった趣があった。
近くには「道のオアシス フォーシーズンテラス」が2024年4月27日に池田町の『観光交流施設』としてオープンしている。福井県池田町と岐阜県揖斐川町を結ぶ「冠山峠道路」の延長線上に位置し、
一般国道417号沿いに立地している。ここでは情報発信、物産販売、人的交流、道路利用者の休息サービスが提供されている。瀟洒な木組みの外観がスマートで、建物内は細長く、どの場所からも日本の原風景を感じることができるようにショップやレストランが並んでいるが、いづれ手狭になりそうだ。
パソコンで「道のオアシス フォーシーズンテラス」から岐阜県の関市や琵琶湖の北に位置する海津大崎までの距離を測ってみると、いずれも100km足らずであった。2023年11月23日に開通した冠山峠道路は、滋賀、福井、岐阜各県の距離を大いに縮めた。次は、この道路を走ってみたいと思う。
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