足元の坂本を、私は知らなかった

大津市坂本は「里坊群」「門前町」として重要伝統的建造物群保存地区に選定され、1997年からその歴史的風土が守られている町である。
その隣の住宅地に住みながら、私は坂本をほとんど知らずに半世紀を過ごしてきた。
参道を車で走り、春は桜、秋は紅葉を眺め、正月には日吉大社へ初詣。そんな付き合い方で満足していた。
転機は「」のチラシを置かせていただこうと訪ねた「三九良」だった。開業10年という、ヨモギうどんや甘味を出す店である。

その佇まいに衝撃を受けた。
広い座敷の床柱は黒柿。甲冑や神輿が飾られ、時代の気配が漂う。奥行きのある建物、深い軒先、広々とした和の庭。団地住まいでは決して感じられない重みと静けさに、思わずため息が出た。

近くにいながら、こんな屋敷を私は知らなかった。
日吉大社の祭事の折には、家々が開け放たれ、甲冑などが飾られる。けれどそれも、どこか祭りの「外側」しか見ていなかったのだと思う。

坂本は平安の頃より、宗教と物流、建築、そして門前町の商いで栄えた土地。立派な民家が並ぶのも、当然の歴史の積み重ねなのだろう。
それでも私は、その足元を見ようとしてこなかった。
たった一軒を訪ねただけで、坂本をもっと知らなければと思った。
長く住むということは、知っていることではない。
今さらながら、足元の町に目を向けたいと思う。

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