文旦の季節、はじまる

季節の柑橘は、八朔から文旦へと移りはじめた。
いつの頃からだろうか。
文旦が、すっかり私の好物になったのは。
二月の声を聞くと、胸の奥がそわそわと落ち着かなくなる。
あの厚い皮の内側に隠れた、ほのかな苦みと爽やかな香りを思い出すからだ。
先週の土曜日、京都へ出かけた娘が文旦をひとつ買ってきてくれた。
文旦を一日千秋の思いで待ち焦がれている私のことを思い出してくれたのだろう。
手渡された、黄色く艶やかな実。
その皮に鼻を寄せると、ふわりと懐かしい匂いが立ちのぼり、鼻先をくすぐった。
それだけで、今年もこの季節が巡ってきたのだと実感する。
翌日、JAの市場をのぞくと、「土佐の文旦」と書かれたコーナーができていた。
二つずつ袋に入れられて、並んでいた。
皮は少し傷つき、ところどころ色も変わっている。
けれど値段は京都の半分。
その素朴さも、また愛おしい。
やはり、買わずにはいられない。
こうして我が家にも文旦が揃い、
今年の文旦の季節は、幕を開けた。

文旦をむくたびに広がる、あの爽やかな香り。
二月の楽しみが、今年もまた始まった。
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