うみまち食堂うらら訪問記②ー和歌山市雑賀崎(日本のアマルフィ)
辺境の雑賀漁港の漁師飯と聞けば想像する風景がある。
小屋風の建物にねじり鉢巻きで赤銅色のおじさんが経営する店がそれである。と、言うのは私はテレビを観ていないので「漁師飯」「日本のアマルフィ」のキーワードしか情報が無かった。
漁港の前の路地の坂道を登った所に「うみまち食堂うらら」はあった。
オーナーは、赤銅色のおじさんではなくて、スマートな現代青年だった。店は「小屋」ではなくかつては「診療所」だったという大きな建物だった。ご夫婦二人で経営しているの想定も全く違った。
ホールだけでもオーナーを入れて4人、厨房は少なくとも2人以上。
テーブルは広い土間にゆっくり配置されていた。全て想像を裏切られたけれど落ち着いた雰囲気の店内は,居心地が良かった。
テーブル数は多いけれど、沢山の予約を受けてしまうとキャパオーバーになってお客様をお待たせすることになるので予約は自分たちに見合う程度に納めているとオーナーは話をされた。出来そうでなかなか出来ない選択である。
ホールは4人もいるのだからサービスに抜かりはない。ランチメニューはコース1つに絞っているので、待つこともなく料理が運ばれた。
前菜 梅貝の煮つけ、モズク、栗、無花果のワイン煮
好物ばかりを並べられて、全て一口、あっと言う間に胃袋に治まった。
茶わん蒸しは湯飲み茶わんのサイズで、小さな柚子の味がしっかり効いていた。
メインは本日の握り
握り9貫はこれだけで鮨屋のランチの量である。
醤油を寿司刷毛で塗るという初めての経験をした。刷毛を使うのはお皿にパラパラと酢飯が落ちることは無いので安心感はあったけれど、粋かと言えば雑賀崎風になるだろう。新鮮な魚の握りは語る必要はない、美味しいに決まっている。小さな椀の汁物が付いている。
〆は鯛茶漬け。基本は寿司1貫ほどのご飯である。
茶わん蒸し同様に湯呑サイズの器に盛り込まれ、テーブルでお茶が注がれた。
鯛の上に載せた山葵にお茶がかかると食欲を復活させる匂いが立ち上った。
デザートは、アイスクリームと柿
ご馳走様。美味しかった。
古い建物好きの私が天井や建具を見回していると、オーナーが建物、建具、家具調度を丁寧に説明してくれた。ここを選んだ訳には壮大な計画もあった。
テーブルをゲストで埋めるよりも、会話が出来るゆとりを優先されたようだ。
雑賀崎は風景、料理、人情が素晴らしい。
道に迷ったときにはご近所の方が店の前まで案内してくれる地域であった。
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