「すぐ死ぬんだから」内館牧子さんを悼む

内館牧子さんが17日、急性左心不全で東京都内の病院にて亡くなったという報に接し、がっくりと力が抜けた。

最初に読んだ彼女の本は、『すぐ死ぬんだから』と『終わった人』だったように記憶している。
いずれも大反響を呼んだ「定年」小説で、ドラマ化もされたベストセラーだ。
どこか気持ちの通じる作家で、あまりにも面白かったことから、彼女という人そのものにも興味を持つようになった。

その後に読んだ『牧子、還暦過ぎてチューボーに入る』の中で、2008年暮れ、急性の動脈疾患と心臓病に襲われ、意識不明の状態が二週間も続いたことが語られている。
医師からは「死ぬのが普通という重篤な状況だった」と告げられたという。

しかし彼女は奇跡的に生還した。
そして医師から、日頃の食生活の大切さを噛んで含めるように諭される。
それまでの外食・美食三昧の日々から一転し、自ら包丁を握り、だしをひき、ベランダで野菜やハーブを育て、おうちごはんを楽しむ毎日へと生活を変えていった。

また、横綱審議委員としての姿も忘れがたい。
稀代の横綱・朝青龍の仮病疑惑や暴行事件など、度重なる問題行動に対して、深い愛情を持って叱責していた。
彼女が大病から生還した時に朝青龍が駆け寄って喜ぶ姿が映像に残されていた。
その時内館牧子は朝青龍の事を「秀吉並みの『人たらし』だわ」と嬉しそうに語っていた。

『すぐ死ぬんだから』という言葉は、最近の私自身の心境でもあり、何かにつけて思い出す言葉でもある。
だからこそ、私よりも若い彼女が、先に行ってしまうとは思わなかった。
『すぐ死ぬんだから』は、老いも死も笑い飛ばしながら、「ではどう生きるのか」を真正面から突きつけてくる一冊だった。
その言葉を、残された私は、どう生きるかだ。

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