お料理貴船/金沢

3ヵ月ぶりに貴船に伺った。
コロナが明けた去年あたりから、半年先の予約が一段と取れなくなった。
もうどれだけ通ったか分からないから、ひとまず引退をしようと思う時もあったけれど、貴船のテーブルに座り、初めのひと皿が出て来ると、盛り付けに見とれ、味付けに目をつぶり、幸せ感に充たされる。
「来て良かった」と心から思えるのである。

と、言うのは何度伺っても同じ料理を出さない。常に進化する料理で時に和食と言うジャンルを越えた分野に紛れ込むこともある。
貴船では、何処よりも早く季節の味を賞味してハッとする事がある。
今日は、イチジクだった。
「初物は美味しくない」の思いを覆す甘さで、私のイチジク熱に火を点けた。
通い始めた頃は、ランチは4000円でコスパの良さに驚いた。その内5000円、6000円と上がっていったが、それでもよく頑張っているなと感心していたら、今月から2000円UPになった。
それでも料理を頂いた瞬間に迷いは吹き飛んだ。
金沢に限らずお金を出せばいくらでも美味しい味はある。
でも20000円のランチを美味しいと思える心の余裕はない。
私の財布にまあまあ合って、今まで一度も失望する事が無かった貴船だけれど、行きたい時に行けないというもどかしさが「行きたい」気持ちを募らせて、また朔日の10時に予約の電話を掛けるのである。