しがらくご第46回 紅雀一人勝ち

残暑厳しい浜大津、「スカイプラザ浜大津」にて第46回の「しがらくご」が9月8日に開催された。
いつもの時間に到着したところ、これまでにないほどの賑わい。常席である一番前を狙うも、今日はようやく4シートを確保するのがやっとであった。なにやら環境に変化があったのか、それとも出演者の人気ゆえか。
ともあれ、開場の顔ぶれを見てホッとする自分は、やはり相当肩入れしているのである。

さて、この日のトリは紅雀さん。演目は「高津の富」であった。
大川町の宿屋に、大金持ちと自称する、みすぼらしい五十五、六の男が泊まっている。身なりの粗末は道中安全のためと弁解しつつ、実は二万両の金の取引に出てきたのだと大言壮語。宿の主人が勧める富くじを、仕方なく持っていた最後の一分銀で買わされる。番号は「子の1365番」。どうせ宿代も払えぬ身、翌朝には逃げ出そうと考える始末である。

そのくじがなんと当たり。にもかかわらず、男は自分が当選したことに気づかぬ。
ここで「子の1365番」と何度も叫ぶ紅雀さんの表情、目をむき口をすぼめるその姿は、まぎれもなく枝雀師匠を彷彿とさせるものであった。顔つきこそ違えど、目の動かし方、口の締め方、そして指の先からまで笑いの種をばらまく芸は、まさに落語の真髄である。

高座を降りれば、華奢な体にピチピチのジーパン、足元は赤いスニーカー。どう見ても50オーバーとは思えぬ若者ぶりである。落語の神様は、声と表情にだけでなく、スニーカーの色にも宿るのかもしれない。

この日も「二乗」「歌之助」「惣兵衛」の顔ぶれが揃ったが、正直、まくらが長すぎて笑いが干からびた場面も少なくなかった。繰り返しに変化がないため、「昨日のカレーを温め直しただけでは?」と疑いたくなる。落語は生もの、鮮度が命。塩加減を間違えたまくらは、観客にとってただの減塩スープでしかない。

「しが落語」に通って2年あまり。こちらの耳が肥えたのか、以前ほどの新鮮な面白さは薄れた感もある。
しかし、紅雀さんの一席だけは別格であった。笑いの千両箱をひとりで背負って高座に立ち、そのまま観客にぶちまけてくれる。だからこそ、この猛暑の中でも足を運ぶ価値があるのである。

落語とは富くじのごとし。外れだ外れだと思いながらも、次こそはと足を運んでしまう。
そして帰り道、「笑いの千両箱」をちょっとだけ抱えて帰るのが、通い客の幸せである。

次回は11月17日(月曜日) 13:30会場 14:00開演
スカイプラザ浜大津7階 スタジオ1

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