アストロリココンサートIN京都市岡崎
秋の一日、京都・岡崎にあるNAMU HALLで、アストロリコ四重奏によるタンゴコンサートが開催された。50席ほどの小さな会場は、黒い壁に囲まれた落ち着いた空間で、集中して音楽を楽しむには最適な環境であった。
コンサートの幕を開けたのは、アストル・ピアソラの代表曲「リベルタンゴ」。バイオリンの難易度は中級とされているが、バイオリニストの麻場利華は、この曲を決して平凡には弾かない。
麻場がこの曲に込める情熱は、聴く人を一瞬でタンゴの世界に引き込む迫力がある。
ピアニストの平花舞依の演奏も、タンゴ独特のリズムを見事に表現し、ダイナミックかつ繊細な音色がホール内に響き渡った。彼女の演奏には情熱と哀愁が反映されており、タンゴファンなら誰もを惹きつける魅力があった。
続いて、コントラバス奏者の後藤雅史がその腕前を披露。 彼はピアソラに心酔し、学生時代からタンゴの世界に入った情熱家である。 この日の演奏では、「コントラバヒシモ」という曲でコントラバスの魅力を思い切り引き出し、普段は楽曲の低音部分を演奏する楽器が、まるで主役のように輝いた。
アストロリコの主宰者であり、バンドネオンの第一人者である門奈紀生は、84歳という年齢を感じさせない力強い演奏を披露した。MCの麻場によるといくつかの大病から生還しているらしい。 静かで控えめな佇まいとは裏腹に、そのバンドネオンから放たれる音は、優れたテクニックにより力強く満たされ、タンゴへの深い愛情と情熱がひしひしと伝わって来る。
プログラムには、フランク永井の「おまえに」をアレンジした演奏も含まれていた。歌謡曲をタンゴに編曲してしまうというユニークな試みは、面白かった。どの楽器が主旋律を受け持ち、どの楽器がメロディーを奏でているのか追いかけてしまうほどの絶妙なアレンジでしあった。
そして第2部のトップは「ジェラシー」。 「コンチネンタルタンゴ」として知られるこの曲を、「アルゼンチンタンゴ」に編曲し、魅力を増して披露された。 アストロリコは、タンゴの伝統を守りながらも、新しい風を吹き込む演奏で、観客を大いに盛り上げた。
コンサートは最後まで熱気に包まれたままで、聴衆はそれぞれの曲が終わるたびに感動の拍手を送った。最後には、門奈の同級生グループが遠方から駆けつけていたこともあり、珍しい撮影会が開催されるなど、アットホームな雰囲気で幕を閉じた。
タンゴの真髄を体験したい方は、アストロリコの公式サイトで今後のスケジュールをチェックしてください。
大津市の公演
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。