ドナウの旅人、流転の海、森のなかの海 ‐ 宮本 輝

一人の作家の本をとことん読み進む傾向にある。
ここ数年は藤沢周平浅田次郎山本一力を行ったり来たりしていた。
一時は随筆や紀行文にはまったが、小説を読み始めると随筆は薄味になってしまって暫らくご無沙汰状態。

傾向が固まってしまったので、以前「ドナウの旅人」を読んで少し心を動かされた宮本輝の本を読み始めている。
後日ドイツ、オーストリア、ハンガリーに旅をしたのはこの本の印象が下敷きになっている。
本から得た印象は陰のある町並みのように感じていたが、どの都市も古い町並みの残る美術館のような印象だった。
ドナウ以後の宮本輝の本にはまらなかったのは、少し距離を感じる作家だったからかもしれない。
何しろ作家と思えないような風貌も気にかかる。登場人物が善人で崇高なのもちょっと困る。

久しぶりに手にした「流転の海 (wikipedia)」は未完の本である。
今月5部目が出版されるらしい。
今年が還暦の著者が35歳で書き始め既に25年が過ぎた。
小説の中は10年が進んだだけである。
流転の海 (新潮文庫)
地の星 (新潮文庫―流転の海 第二部)
血脈の火―流転の海〈第3部〉 (新潮文庫)
天の夜曲―流転の海〈第4部〉 (新潮文庫)

第5部発売されました!

※2017年現在、第8部まで発売されました。
流転の海 第6部から第8部まではこちらで紹介しています

続きを読みたい気持ちが募ってくるが出版されなければ読むことも出来ず、
そのつなぎで「森のなかの海」を読み始めている。
どうも、本のタイトルのつけ方が上手すぎるように思う。
いえいえ、内容が伴わないなぞといっているわけではありません。
どの本も手に取る前に「角砂糖」を口に入れたような甘さを感じてしまう。
読み始めると野太い本である。
ただ、著者が創価学会の信者という事でともすると教義の中に気持ちがのめりこんでいる傾向を感じなくもない。
反面、私がいかにもの知らずだったかと思い知らせてくれるほどの知識が詰め込まれている。
そこが読書の醍醐味かもしれない。

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