歴史と伝統が織りなす「刺し子」展 ~心を繋ぐ一針の物語~
福井県坂井市三国町の旧森田銀行において、伝統工芸「刺し子」の展覧会が開催されている。
大正時代の趣のある建物と、温もりを感じる刺し子作品が融合し、独特の雰囲気を楽しめる空間である。
今回の展覧会「繋ぐ糸・つながる刺し子」は、作品を展示するだけが目的ではなく、刺し子文化を広めたいという思いが主宰者側にあるようだった。
「繋ぐ糸・つながる刺し子」とは⇒ ★
会場に着くまでは、刺し子の展覧会だとばかり思っていたので、会場で説明を受けてその思いの熱さに驚いたけれど、今回が第1回となると、思いの熱さも当然で元Gallery Ownerの情熱が蘇った。
三国港は北前船の寄港地として栄え、大商家が並ぶ街並みで知られる。 その歴史の中で生まれた「安島もっこ刺し」は、三国の女性たちの涙の物語である。
100年前の作品
昼は海女として働き、夜には家族の衣服を補強し、保温するために施された細やかな刺し目は 縫糸がまるでみみずばれのようになって盛り上がるその緻密な針目こそ、「安島もっこ刺し」の特徴であり、労苦と愛情のたまものであった。
本展は、「安島もっこ刺し」に心奪われた森岡千代子さんと坂野上百恵さんとの出会いにより、実現の運びとなった。
「今回はその記念すべき第一回目。山形のmomosashico 長井さしこの大竹桃子さんと、津軽こぎん刺しの山端家昌氏のご協力のもと、「最初の一目め」を刺していきます。」
との事、是非お出かけ下さい。
私は、展覧会にて折敷を頂き、帰宅後、その手仕事の跡をしみじみと眺めた。 一針一針に込められた思いと歴史が、確かに心を充たすものであった。 「安島もっこ刺し」をはじめとする手仕事、刺し子が、より多くの人の心に響き渡ることを、心より願うばかりである。
長井さしこ・大竹桃子
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