春の庭の狂騒曲

朝食を終えると、家人は直ぐに庭へ“出勤”していった。
もはや日課というより勤務である。しかも定時なし。どうやら一日中いても仕事は終わらないらしい。
最近は木製のガーデンツールが次々に傷み始め、その修理に追われている。鉄を足し、ペンキを塗り、またどこかが壊れる。狭い庭なのに、やけに大掛かりだ。
庭に出てみると、土の上には雑草が生える間もないほど、見事に抜き尽くされていた。
ここまではいい。

――問題はその先である。
なかなか根付かない貴重な花のこぼれ種まで、きれいさっぱり消えていた。
思わず声が出たが、もちろん時すでに遅し。何度言っても、雑草と花苗の区別がつかないらしい。
それでもまあ、そこさえ目をつぶれば、かなり優秀な庭師ではある。
そこが一番困るのだけれど。
今年はクレマチスの成長が著しい。ダイアナは「毎日10センチは伸びている」と、すっかり上機嫌で見惚れている。確かによく伸びる。ただ、花芽がつくまでは信用しきれないのがこちらの本音だ。

バラが枯れて寂しくなったフェンス際には、クレマチスの鉢を並べ、誘引用のトレリスも設置してある。家人は専用のノートまで作り、何度も読み返している。
しかし雑草と花苗の見分けがつくようになるには、まだしばらくかかりそうである。
不思議なことに、私はほとんど作業をしないのに、雑草と花苗の見分けだけは間違えない。
役に立っているのかいないのか、よくわからない。
うまくいかないものだ。
それでも、そんな行き違いごと、春の庭はちゃんと季節を進めていく。
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