西尾八つ橋の里にて、夏の鴨そばを味わう

「西尾八つ橋の里」は、私の想像していた蕎麦屋とは少し趣を異にしていた。そこは、麺類を中心に据えた和食の専門店であり、落ち着いた佇まいの中に、どこか洗練された空気が漂っている。

メニューは多岐にわたるわけではなかったが、ひとつひとつの料理が丁寧に仕上げられ、器も含めて上品でスタイリッシュな印象を受けた。

私が選んだのは、夏季限定の「冷やし鴨そば」、姪は「黒ゴマ冷麺」、家人は「冷やし鴨そばと炊き込みご飯のセット」をそれぞれ注文した。

運ばれてきた鴨そばは、想像以上に美しく、思わず目を見張った。艶やかなピンク色の鴨肉がシャキシャキとした壬生菜の上に厚く盛られており、器の中で存在感を放っていた。最初はざるそばを食すつもりであったが、この鴨そばに出会えたことは嬉しい誤算であった。

そばの喉ごしは非常に滑らかで、するすると胃の中へと吸い込まれていく。特筆すべきはスープである。こってりとも、あっさりとも言い切れぬ絶妙な塩梅。思わず器を手に取り、最後の一滴まで飲み干してしまった。

一方、姪の頼んだ黒ゴマ冷麺は、いわゆる中華風の冷麺とは全く異なる趣であった。私は中華冷麺を想像したまま一口味見をしたため、少々戸惑った。和の冷麺は初めての経験だった。姪はいたく気に入っているようだった。

家人のセットについてきた炊き込みご飯は、トウモロコシが主役で、ふんわりとした甘みが口の中に広がる。おばんざいとして添えられたヒジキの煮物は、黒いヒジキの上に鮮やかな緑の枝豆が三粒、ちょこんと乗っていた。この色の対比が見事で、もし枝豆がなければ印象に残らなかったかもしれない。蓮根や揚げ、ニンジンなども細かく刻まれ、全体としてとてもバランスの良い一皿であった。

姪の料理にも同様に、細かく刻まれた野菜がふんだんに使われており、そのひと手間が料理の印象を豊かにしていた。これが、いわゆる「京風」というものなのだろう。

食後のデザートも評判のようで、周囲の席では宇治茶のかき氷を頼んでいる人が多く見受けられた。たっぷり盛られたかき氷は一人では食べ切れぬほどの量で、三人で分け合おうかと迷ったが、誰からも声が上がらず今回は見送ることにした。少し心残りではあるが、価格は1030円と安価で、今どきの主食より高いかき氷とは一線を画していた。次回こそはぜひ味わってみたいと思っている。

帰り際、靴を履いてから「食事の間」以外の貴重な部屋も見学できることに気付いた。しかし、この日は美術館巡りで少々疲れていたこともあり、見学は次回の楽しみに取っておくこととした。

再訪の折には、ぜひかき氷とともに、見学も果たしたい。そしてこの店の魅力を、もう一度じっくりと味わってみたいと感じている。

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