リハビリの終わりに

長かったリハビリの日々が、ようやく終わった。
5月から始まった本格的なリハビリは、思いがけず、自分の体とじっくり向き合う時間になった。
友人たちは色々と助けてくれて、器具や方法も紹介してくれた。
「期待に応えたい」というよりも、「早く治りたい」という気持ちが、日を追うごとに強くなっていった。
激しい痛みが走ることはなかったが、明け方になると膝のあたりがズキリと痛んで目が覚めることがあった。
ベッドから降りても、最初の頃は両足でしっかり立つことができなかった。
階段を普通に上がる日はもう来ないと思う日々であった。
それでも、少しずつ体は応えてくれる。
治りかけると、まるで時間を逆回しするように、回復の形を見せてくれた。
「今日は両足で立てた」
「今日は普通に歩けた」
「今日は膝の後ろが伸びた」
そんな小さな“今日”を積み重ねていく。
そしてついに階段を普通に上がれた。
治りかけてくると、朝ベッドの中で繰り返していたストレッチをつい忘れて起きてしまう。
すると、その日はぎこちない歩き方になる。
「これはいけない」とまた励み、また忘れ、そしてまた励む。
そんな日々を何度も繰り返しながら、ようやく迎えたリハビリ終了の日。
帰りの車の中、お気に入りの曲を流しながら、半年間のことを思い出す。
辛かったこともあったけれど、今はただ、歩けることの喜びが胸に満ちている。
長い道のりだったけれど、終わってみれば、少し名残惜しい気さえする。
家路へ向かう途中、午後の陽射しがやけに眩しかった。
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