小さな痛み、大きな気づき

小指の先を怪我しただけでも、日常生活の中で小指の存在の大切さに幾度となく気づかされるものである。ましてや足が不自由になれば、生活のクオリティは格段に落ちる。心まで塞ぎ込みそうになることもある。
幸いなことに、家族や友人があれこれと助けてくれる。なかでも、話し相手になってくれたり家事全般を担ってくれる姪の存在は大きく、そのおかげで鬱々とした気持ちにまで至ることはない。ただ、時折ふと、行く末を考えてぼんやりとし、気弱になる瞬間がある。
もしこれが50歳や60歳の頃であったなら、「そんなこと、大したことではない」と笑い飛ばしていたかもしれない。だが、今の私には深刻な問題である。あれほど友人や知人と「足は大事だ」と確認し合ってきたにもかかわらず、あっという間のアクシデントであった。
「明日、何が起こるか分からない」という言葉が、現実として目の前に現れた。今回は「脚」で済んだが、次は「突然死」だってあり得るのだという現実味を帯びてきた。
ここ最近は、「思い立ったが吉日」の精神で、「今でしょう」を合言葉に即行動してきた。それは、本当に良かったと思っている。
そんな今日、友人が渡辺有子著『365日』という本を持ってきてくれた。1月1日のおせちに始まり、季節の行事や日々のごはんを、365枚の写真とエッセイ、レシピで綴った一冊である。現実の生活へと優しく引き戻してくれるような本であった。
心が浮き沈みする私の、港のような存在になりそうだ。「こんな本を読んでみたら」と手渡してくれたその言葉から、友人の深い心遣いが伝わってきた。
明日には、MRの検査結果も出るだろう。それまでは、あれこれと思い悩まずに過ごそう。そう、気持ちを少し立て直すことができた一日であった。
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