季節の彩り、旅路の記憶
クリスマスが終わると、家人はそそくさとクリスマスグッズを片付け始めた。 実は、出すのも片付けるのも家人だ。こういう細かい事をするのを厭わない人であるから大いに助かっている。外を飛び回ることの多い私より、家にいる時間の多い家人が、いつの間にか季節物の管理をするようになった。
窓辺がガランとして少し寂しげだが、これが本来の姿。しかし、28日になると今度はお正月飾りを出す番だ。これを取り出すのもまた家人の仕事。私が用事に追われていても、家の中では新年を迎える準備が進んでいく。
我が家のお正月飾りには、どれも特別な思いが詰まっている。 25年前、福岡で買った「下げもん」は、当時の旅先での空気や風景を思い出させてくれる。松本の中町を散策して出会った木製の鏡餅には、しっとりとした古い街並みと優しい店主との会話を思い出す。
町並みや文化に惹かれて選んだものばかりだということである。
私たちが旅先で工芸品を買うようになった背景には、博多から大分への街道を毎週通った日々がある。その時に出会った品々。その一つ一つが、かけがえのな思い出として心に残っている。
店先で交わった店主とその他愛もない会話、地元の人が教えてくれた隠れた名所。
正月の準備をすると、もう一度九州の街道筋を歩いてみたいな気持ちが湧いてくる。
お正月飾りを手にするたび、私たちの旅の記憶は色鮮やかに蘇る。 それは単に飾りではなく、人生の一コマ一コマを形にした宝物だ。 私は日常の中で大切な思い出を再確認し、新しい年への期待を胸にする。
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