お好み焼き物語

去年の暮れ近くに、無性にお好み焼きが食べたくなった。ソースも粉もそろっているし、あとはキャベツさえあれば作れる。しかし、そのキャベツが手に入らず、計画はそこでストップしてしまった。

その後、キャベツの価格はどんどん高騰し、まるで天井知らずのようだった。ニュースでは、ある地域では1玉1000円になったと報じられ、私の住む地域でも700円近くまで値上がりしていた。お好み焼きはますます遠い存在になっていった。

しかし、ようやく春キャベツが出回るようになり、価格も300円台まで下がってきた。それでも以前の価格に比べればまだ高い。そんな折、娘が「ドラッグストアで安かったから」とキャベツを買ってきてくれた。

土曜日はなんとなくのんびりムードが漂う日。「こんな日にお好み焼きを焼けたらいいな」と思い立ち、キャベツの四分の一をざっくりみじん切りにした。すると、大きなボウルいっぱいにキャベツが広がる。久しぶりに見る豊かなキャベツの量に感動しながら、生地を作り、焼き始めた。

お昼時、家族が集まり、思いがけないお好み焼きにみんな嬉しそうな表情を浮かべた。「久しぶりだね」「やっぱり美味しいね」と箸を進める姿は、まさにお好み焼き万歳であった。

それにしても、もう少しキャベツが安くなってほしいものだ。そう思っていたら、今度は卵の価格が高騰している。ここ数年、さまざまな食品が値上がりしてきたが、最近の値上がりはまるで狂乱物価のようだ。一度上がると下がらないのが物価の常。この先どうなっていくのか、不安は尽きない。

しかし、そんな憂鬱な気持ちも、お好み焼きを囲む家族の笑顔とともにしばしの間忘れることができた。香ばしいソースの香りとふんわりと焼き上がったお好み焼きが、心をほぐしてくれる。
物価の変動に振り回される日々の中で、お好み焼きを焼いた土曜日の午後は、小さな幸せを感じるひとときとなった。

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