お雛様とちらし寿司

お雛様に「ちらし寿司を作ろうよ」と、姪から連絡が来た。
彼女は食料品店の女将さんだったから、お惣菜料理には慣れている。
「そうねえ、久しぶりにいいねえ」と一緒に作ることにした。
京都と滋賀に住んでいる私たち、なかなか会う機会がなかったが、今年に入って彼女が滋賀へ仮住まいをしているのでよく我が家に泊まるようになった。
彼女とは20代に東京・保谷市のアパートで一緒に暮らしていた。
不思議にその頃の事はよく覚えていない。お互いに自分の事に夢中だったのだろう。ひとつ覚えているのは寝起きの悪い彼女は布団の上に30分も目を瞑って座っている姿である。
「あの頃、私はご飯を作った記憶が無いわ」と彼女は言う。多分私が作っていたのだろうけれど、私もそれほど記憶はない。その姪が食料品屋の女将さんを50年間もつとめたと言う事に驚くが今では私以上に手早く料理を作るようになった。
「巻きずしが食べたいなぁー」と言う私に「お雛様はちらしです」といかにも京都人のような事を言う。
「食べたいなら一緒に作るけどー」とは言ってくれた。私が忙しくバタバタしていると「ご飯を作りに行こうか」と言ってくれる。どうやら彼女はひとりご飯が嫌なようである。
有難い申出なので、頼りにしよう。
ちらし寿司は具を作れば出来たようなものだからと、椎茸を水に漬けたら、ついでに人参も煮ておこうと準備する間に出来てしまった。酢飯と錦糸卵が出来たら完成だ。
巻きずしは彼女が巻く方が上手い。
久しぶりに20代に戻ったように、思い出話に夜が更けるだろう。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。