JR電車の優先席物語

所用があって大阪まで出かけた。
滅多にJRに乗ることが無いので電車に乗る時はチョットした遠足気分。
さて帰ろうかとした時は5時半過ぎの混雑時間、座れるとは思ってもいない。

乗り込んだ車両のすぐ右側座席に「優先席」があった。
私の前に大きなリュックを担ぎ、前にカメラをぶら下げたカップルが乗り込んだのだけれど、座席の前に行くと急に慌てて私を振り返った。
すると前から座っていた女性まで立ち上がって「どうぞ、どうぞ」
「わざわざ立って下さらなくて大丈夫ですよ」と言葉にした。
「次で降りますから、どうぞ」と笑ってくれた。
けれど、入口ではぐれた夫が見当たらない。
全部の荷物を持っているからしんどいはずなので、こちらに座って欲しいと思って探すと、少し前の方に立っていた。
手招きに気が付いてくれたと思うけれど、少しも近づてこない。
皆が席の譲り合いをするものだから私の隣は空いているのに。
立ち上がってくれた女性も、リュックのカップルも気にしてくれているのに。
電車が動き出したので、私も諦めて椅子に掛けた。
その瞬間、スマホを見ながら大きな若者が近づいて来てドカッとその椅子に座った。

周りは息を飲んだ。
向かいに座っていたミッキーカーティス似の男性が私に目で笑った。
私も笑った。

こんな時にいつも思い出す詩がある。
吉野弘の「夕焼け

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