紅玉林檎から始まった一日

家人は無類の林檎好きである。
ケーキの中では、どうやらアップルパイがいちばん好みに合うらしい。
紅玉林檎を見つけると、必ず買うのは家人である。
私はというと、皮を剥き、煮て、冷まして……と、その先の手間を思うと、紅玉林檎にはつい手を出さずにきた。
先月、信州で家人が買ってきた紅玉林檎が、台所で少し元気をなくしている。
それが気になっていたのだろう。予定のない今日、家人は朝から「アップルパイを焼く」と張り切っていた。
レシピは自分で探していたようだが、私が長く使っているものの方が失敗が少ないだろうと思い、差し替えて渡した。
料理をしてくれるのはありがたい。
ただ、以前は調味料のありかを聞かれるたびに手が止まり、料理をしてくれる方がよほど忙しかった。
最近はそれもなくなったが、次の難関は冷蔵庫である。
目の前にあるものが見えず、「ない、ない」と言い始める。結局、私が立って行き、それを渡すことになる。
ところが今日は少し進化した。
ほとんど私の手を煩わせることなく、午前中にはアップルパイが焼き上がった。
昼には、ネギと鴨の熱い鍋焼きまで用意されていた。

夕方には、豚ロースの塊をダッチオーブンで焼き、スープを作っているらしい。
今日は一日、台所仕事を家人に任せ、私は溜めていた小さな家事を、ぼつぼつと片付けていた。
家人の料理のイライラ期を私が脱したのかどうかは分からない。
けれど、「料理をしてみたい」と思う気持ちには大賛成である。
アップルパイとうどん鍋は、どちらも本当に美味しかった。
もう少しレシピを広げ、月の半分ほどでも調理を担当してくれたなら、ありがた山である。
来年は少し、上手に仕向けてみようと思っている。
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