空の上の光景 ― 新千歳から伊丹へ」

新千歳空港16時20分発の伊丹行きの便に乗った。
この飛行機に乗れば、北海道とはしばらくの間お別れである。

夕暮れが迫る空港を後にし、機体はゆっくりと滑走路を走り、やがて空へと舞い上がった。
千歳の空を覆っていた厚い雲を抜けると、そこには雲の上に広がる光の世界があった。
沈みゆく太陽の残照が雲を照らし、まるで自然が作り出した彫刻のような造形を見せていた。

見とれているうちに高度はぐんぐんと上がり、気がつけば眼下には真っ白な雲海、そして頭上には澄み切った青空が広がっていた。

やがて、視界の端に虹のような光の帯が見えた。
「どこかで雨が降っているのだろうか」と思ったが、それは幻日(げんじつ)と呼ばれる現象であった。

幻日は太陽の左右に現れる光の点で、時には縦向きの虹のように見えることもある。
以前、空の上で丸い虹を見たことがあるが、それは「ブロッケン現象」と呼ばれるものであるらしい。
虹が比較的大きな水滴による屈折で生じるのに対し、ブロッケン現象は微小な水滴による回折によって起こるという。
空の上で観る雲と光の組み合わせは、まさに自然の芸術である。

大阪もそろそろ日暮れの時刻と思うころ、機体はゆっくりと降下を始めた。
眼下には夕闇に包まれつつある街が広がり、やがて再び太陽が姿を見せ、沈みゆく瞬間を機上から眺めることができた。


18時半、伊丹空港の上空には高速道路の灯りとビルの明かりがきらめき、現実の世界へと引き戻される。
わずか2時間の空の旅であったが、雲の上に広がる光と影のドラマは、飛行機に乗る時の楽しみでもある。

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