京の郷土芸能のつどいに出掛けて

ロームシアター京都のメインホールで開催された「京の郷土芸能のつどい」に出掛けた。
このイベントは、「京都市文化観光資源保護財団」設立55周年記念事業の集大成として開催されたものである。
京都には、葵祭、祇園祭、五山の送り火、時代祭といった四大行事のほかに、日々の暮らしの中で演じられ、継承されてきた郷土芸能がある。
今回は、京都で受け継がれてきた六斎念仏や大念仏狂言に加え、岩手県の流れを汲む鬼剣舞、広島県の芸北神楽など、地方の伝統芸能を一堂に観劇できる貴重な機会であった。
時折雪が舞う寒い日だったが、メインホールは観客で埋め尽くされ、熱気に包まれていた。
この日の演目は以下の通り。
六斎念仏:「壬生六斎念仏講中」「久世六斎保存会」
京都鬼剣舞:「一人加護」
芸北神楽(広島県北広島町 有田神楽団):「八岐の大蛇」
大念仏狂言(千本ゑんま堂):「篁冥途噺」
京都の町内には、それぞれの地域で守り育ててきた芸能がある。
出演者に話を伺うと、ベテランの方々は小学生の頃から続けているそうであった。
今回の出演者の中にも、まだあどけない小学生が大人に混じり、力いっぱいに太鼓を叩き、踊っていた。
彼らは次世代の継承者として、今後も伝統を受け継いでくれるだろう。
京都に住んでいても、新興住宅街ではこうした経験はなかなか出来ない。
昔から何代にもわたって京都に住み、おじいさんやお父さんから引き継いできた方々が多く、伝統芸能の奥深さを改めて実感した。
演目の詳細については、公式のチラシをご覧ください。
詳細はこちら
今回の郷土芸能の中でも、特に圧巻だったのは 「芸北神楽 有田神楽団(広島県北広島町)」による『八岐の大蛇』 であった。
リアルな大蛇の動きは観客の視線を釘付けにした。
大蛇を成敗するスサノオノミコトとの戦いでは、2頭の大蛇が口から火を吐き猛り狂う姿が圧倒的な迫力で迫って来た。
大蛇には、何人の人が入っているのだろうかと思うほど蛇腹をくねくねとのたうたせたが、一人の人が子供の頃から蛇の動きを見て工夫したものだと聞いた。
それまで演じられた京都の伝統芸能は、鉦や太鼓、横笛を中心とした品のある演目であったが、「八岐の大蛇」の壮大な演出を見てしまうと、少し物足りなく感じてしまった。
最後を飾ったのは、壬生六斎念仏による「獅子舞」であった。
獅子の曲芸を中心とした大道芸的な演目で、これまで見てきた京の伝統芸能とは一線を画す、印象的なフィナーレであった。
「八岐の大蛇」をはじめ、今回出演された方々はプロではなく、仕事の傍ら練習を重ね、伝統の灯を守り続けている。
文化を継承することは、並大抵の努力では成し得ない偉業である。
これからも、こうした伝統芸能が受け継がれ、さらに発展していくことを願っている。
伝統の息吹を感じた素晴らしい一日であった。
来年もまた、こうした機会があれば、ぜひ足を運びたいと思う。
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