笑いの灯、まだ消さぬ 第44回しが落語・浜大津夜寄席

第44回「しが落語」が、5月13日(火)に浜大津で開催された。前回の第43回公演では昼夜2回公演という新たな試みがなされ、今後は昼寄席を主軸にするかどうか検討中とアナウンスされていた。そのため、もしかすると今回の夜の寄席が最後になるのではないかと思いつつ会場に向かった。
開場時間を少し過ぎて入場したところ、客席にはまだまばらにしか観客の姿が見えなかった。受付をしていた歌之助さんと二乗さんは当然、来場者の人数を把握していると思われるので気の毒でならない。私達は4名での参加だったが、目立つ空席を前にため息をつかざるを得なかった。

トップバッターとして登場したのは惣兵衛さん。マクラではたびたび登場する師匠 桂ざこばとのエピソードを披露した。今回は、大阪と他地域とのイントネーションの違いをテーマに、ユーモアたっぷりに語ってくれた。「フィレ肉」が大阪では「ヘレ肉」と呼ばれ、桂一門内では師匠の言葉が絶対であるため、皆が「ヘレ」と言い換えるという話に、会場は早くも笑いに包まれた。さらに、ざこば師匠がカラオケで「雨の御堂筋」を歌った際、「欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)」を頑なに「欧陽ヘーヘー」と発音し通したという逸話には、大きな笑いが起こった。
演目は「手水回し」江戸では当たり前のように通じる「手水(ちょうず)」が地方では通じず、宿の主人たちが右往左往する様子を描いた滑稽噺であった。

続いて登場したのは二乗さん。演目は「ふぐ鍋」である。ふぐの美味しさと、それに伴う命の危険を天秤にかけた江戸時代の人々の葛藤を描く話である。ある男が、命の危険を避けるために物貰いに試食させたものの、逆に騙されてしまうというオチで、ユーモアの中に皮肉が効いた一席であった。

紅雀さんのマクラは「瓦そば」について。本人はあまり好みではないらしく、どちらかといえば苦手であるという。寄席の後の打ち上げで「瓦そば」が出されることに満足していない様子を愚痴っぽく語り、会場の笑いを誘った。これを受けて最後に登場した歌之助師匠は、紅雀さんの瓦そば嫌いを逆手に取り、1対3で「瓦そば」は好かれていると、マクラで応酬。見事なやり取りに観客も笑いに包まれた。

紅雀さんの演目は「隣のお桜」庭に咲く桜の枝を勝手に切った隣家に対して、主人公が仕返しを画策するという、ちょっぴりブラックユーモアを含んだ一席であった。生活感のあるストーリー展開とテンポの良い語り口で、観客を引き込んでいた。

トリを務めた歌之助さんは「お見立て」花魁が嫌な客を追い返すためについた嘘がどんどん膨らみ、最後には死んだということにまでなってしまう。客を納得させるために架空の花魁の墓に案内し、そこにある他人の墓を次々と「お見立て」するという、機転と皮肉が効いた話であった。巧みな話術と間の取り方に、観客も次第に引き込まれていった。

今回もいつも通り、入れ替えなし・休憩なしの濃密な公演で、終始笑いが絶えなかった。
帰る頃には観客席は4.50人の観客になっていたようで安堵した。

次回、第45回「しが落語」は7月14日(月)午後2時より、昼寄席として開催されることが決定している。
落語に少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ足を運んでいただきたい。生の高座で味わう落語の楽しさは、何ものにも代えがたい。笑いあり、人情あり、粋な語り口に心癒されること間違いなしである。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

skogBLOG内の記事検索

カテゴリー

過去の記事

手芸・ハンドクラフトの情報収集

ブログランキングで手芸・ハンドクラフト 関連の情報を収集できます!
ページ上部へ戻る