かんじる比良、18年目の風景と想い出

かんじる比良の二日目。ようやく「かんじる比良」を開催中の比良へ足を運ぶことができた。
「かんじる比良」は、滋賀県大津市北部・比良地域にて毎年5月に開催される地域散策イベントである。今年で19回目を迎えたとのこと。パンフレットを手にしながら、2007年秋の第一回を懐かしく思い出した。あの頃、未だ若かった私たちが手探りで立ち上げた企画である。こうして年月を経てもなお「かんじる比良」の名のもとに受け継がれていることは、嬉しい限りである。

昨日は前夜からの大雨により、会場の様子が心配でならなかったが、その不安を打ち消すかのように「ほっとすてーしょん」は朝から多くの人で賑わっていた。「どうでしたか?」と誰かに尋ねる余裕もないほど、バイキングのコーナーは人で溢れていた。

裏庭のベンチへ案内されると、そこには涼風が吹き抜け、黄菖蒲の花が満開であった。裏庭の湧水が静かに流れ、その向こうには湖西線の高架がそびえ、時折通り過ぎるサンダーバードの轟音が耳に届く。これもまた比良の風景、比良の音である。

料理の数々は、ホテルの豪華バイキングには及ばないが、試作を重ねたことがうかがえる滋味あふれる家庭料理の延長であった。料理は人気で次々と皿が空になっていく。写真に収める間もなく、目と舌で楽しむことにした。「美味しいね」という声が後ろの席から聞こえてきて、まるで自分のことのように頬が緩んだ。

食事のあとは「ほっとらいん」によるミニコンサートである。例年は畑の中で演奏されるが、昨日の雨の影響で会場はテラスへと変更された。間近で聴くヨシ笛の音色は、澄んだ風のように心に染み入る。今日は珍しく「高原列車は行く」の演奏があり、その一曲で一気に記憶は過去へと遡った。そして思わず「青い山脈」をリクエストする。映画の主題歌であり、思春期の私の心に深く残っている一曲である。

「かんじる比良」の発足に関して

滋賀県・湖西、琵琶湖と比良山系にはさまれ、人々の暮らしと自然が融合した地・比良。歴史や文化、伝統をになって代々暮らし続けてきた者、この地に魅せられ移住してきた者、ギャラリー・工房を構え創作活動する者。
さまざまな人々が手をとりあい、「自然」「歴史」「文化」「アート」「食」を通じて元気な比良を発信することを目的に2007年「かんじる比良の会」を発足しました。

と書いてから18年、あれから18年になるのかと考え深い。
自然とものづくりの魅力を、訪れた人に五感で感じてもらうことを願って始まった企画であった。花咲く庭や、森の木陰を歩き、美しい緑に囲まれて心安らぐひとときを届けたいという想いが原点であった。

しかし、18年という歳月の流れは、私の体調にも影響を及ぼしていた。公共の駐車場から離れた工房へと足を運ぶことが困難であると、今年になって初めて痛感したのである。これからは、高齢者や身体の不自由な方々にも配慮した移動手段や駐車スペースの整備が求められるだろう。森の中とはいえ住宅街も含まれる地域であるため、車の列ができることを懸念して当初は考慮してこなかったが、有料でもよいので一定の場所を確保する工夫が今後必要になるのではないかと感じた。

今年は公共の駐車場も満車であったため、「ほっとすてーしょん」だけで「かんじる比良」の空気を味わった。そして、そこで参加された人たちの話が聴けるのは、楽しい時間であった。

比良山の姿は、今も昔も変わらずそこにある。これから100年、1000年先も同じように比良の山々は人々を見守り続けてくれるであろう。戦国の武将たちもこの山を見ていたのだと思うと、悠久の時の流れが肌に感じられる。今年もまた、かんじる比良に参加できたことに感謝しつつ、来年への想いを新たにした一日であった。

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