六花の森を歩く — 秋の北海道にて

昨今の北海道は、外国人観光客であふれていると聞いていた。
それで、観光客が一段落する10月ならば静かで、紅葉も楽しめるだろうと思い、北海道行きを計画した。
紅葉には寒さがつきものである。あれこれと防寒の準備を整えたものの、出発直前には薄着に入れ替え、上着を追加した結果、ほとんど夏と変わらない装いとなった。だがそれは正解であった。旅行中の気温は24℃から28℃もあり、思いがけず暖かい北海道の秋を過ごすことになった。

8時半発の伊丹空港から千歳行きの飛行機は満席で、移動する人の多さに驚いた。
千歳に着くと、そのまま2時間先の帯広へ向かい、目的地である「六花の森」を訪ねた。


園内にはほとんど人影がなく、すれ違ったのは数名ほど。静かな森の中で、久しぶりに深呼吸をしながら小道を歩いた。森にはクロアチアから移築された古民家が点在し、小川がさらさらと流れ、忘れられたようにクラリンドウの花が一輪咲いていた。

庭園内の展示は、坂本直行氏を中心に構成されている。坂本氏は六花亭の包装紙をデザインしたことで知られ、その創作の過程も古民家の中に展示されていた。
坂本直行氏について⇒ ★

また、「サイロ」と題された子供たちの詩を展示する小屋もあり、坂本氏は創刊以来、その表紙を描き続けてきたという。詩情あふれる表紙に引き込まれて中を読むと、子供たちの純粋な目で綴られた詩を読むことが出来る。
それらを読むと、かつての自分に出会うような気がした。
忘れかけていた素直な感情を取り戻し、しばし心が洗われるようであった。

外に出ると、小川の流れがさらさらと音を立てていた。
木々の間を抜ける風が心地よく、歩くほどに心が静まっていく。


遠くではあるが、この「六花の森」こそ、私にとって最も癒される風景が広がる場所である。
秋の陽に照らされた森の道を歩きながら、懐かしさとやすらぎに包まれた時間であった。
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