黄山の日の出|中国旅行

日の出の太陽は血が滲んだような紅色で登って来るとは知らなかった。
東の空がようよう明け行く時間に合わせて1時間の登山をした。
懐中電灯で足元を照らして何百段の階段を上がり下りして日の出を待った。
狭い場所に大勢が詰めかけて、足元もおぼつかいない場所に踏ん張ってカメラを構えた。
予定時間になると急に辺りが明るくなり血のような太陽が雲海の間から見え始めた。
歓声ともため息ともつかない感動が波のように伝わった。
一生忘れない日の出だった。
黄山の登山はこのような階段が連続する。
これは緩やかな階段で踊り場もない場所も方々にある。
山になれている人でも階段登山は別物だと苦労されていた。
私は一生分の汗をかいた。
墨絵の世界や
雲海が見えるのだから頑張るしかない。
今回の旅行は、友人知人特にYさんのお陰が無ければ出来なかった。
姉母が心不全で病院に救急搬送されたと連絡が入ったのは、明日からいよいよ黄山に入るという前日だった。
Yさんが入院手続きをして、姉母の食事介助も私が居る時と同じように不自由しないように気を配って下さった。
「いってらっしゃい」と後押ししてくれた友人は施設や病院に姉の様子を見に行ってラインで知らせてくれた。
そんな無理を押して出かけた黄山で音を上げてはならないと力を振り絞って登った。
私より7才上のFさんご夫婦と仲良くなった。
Fさんの奥様は60才までに百名山に登ったという健脚の方だ。
「苦しい山登りの先にみえる風景が楽しみで登ったのよー。」と仰った。
そして、「それが出来たらどんな事にも耐えられるの」と言ってクスッと笑った。
胸の中に大きな言葉が届いた。
明日は姉も退院できる。
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