石川県立図書館:デザインの美と心地良さを兼ね備えた新たな文化拠点
2年前の7月16日に金沢大学工学部跡地に石川県立図書館が開館した。
ネットで図書館の写真を見た時に、その美しさに圧倒された。
いかにも居心地の良さそうな図書館に指をくわえて眺めていたけれど、ついに金沢市小立野に県立図書館を見学訪問して、その魅力を実際に体験した。
外観は特に印象的で、外壁のガラスとパネルが折り重なり、本のページをめくるようなデザインが採用されている。
館内に入ると、まず目を惹くのは中央に位置する大ドームだ。
4階までが吹き抜けになっており、360°本に囲まれ、ドームの中央には中空に浮かぶような「ブリッジ」のほか、家具デザイナー監修による500以上の閲覧席がゆったりと配置されていた。
図書館の設計は建物のデザインも重要だが、本の配架や動線はもっと重要な要素ではないだろうか。
そんな目で図書館を眺めるのも面白かった。
動線はエスカレーター、エレベーター、階段で各階からの移動はすこぶる快適になっている。
図書館の各ブースは学生で賑わっており、話し声もなく、勉強に集中できる雰囲気が漂っている。
蔵書数も100万冊以上と豊富で、身近でなじみ深い12テーマを集めた本棚では、気軽に視覚的に本を選べるような工夫がなされていた。
図書館は地域文化のバロメーターではないだろうか。
子供も高齢者も一緒に過ごせる空間は、現代において非常に重要で子供は外で遊び、おじいさんは山へ柴刈りに行く時代ではない。直接的な子育て支援だけでなく、このような魅力的な図書館のある街は、若者にとっても子育てしやすい場所になるはずだ。
私は30代の一時期を小立野で過ごしたけれど、あの頃にこの図書館があったらもっと充実した金沢生活を送ったはずと残念である。
地域文化の発展に寄与するこの新しい図書館は、多くの人々に愛され、活用されるだろう。
設計は仙田満氏が担当された。仙田氏は富山県の観光スポット・富岩運河環水公園や、秋田県の国際教養大中嶋記念図書館を手掛けられた名建築家である。
石川県立図書館は中嶋記念図書館をバージョンアップさせたとされている。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。