ヘルプカードを正しく活用するべきである — 見えない不安に気づき、支え合う社会へ

ヘルプカードをご存じであろうか。ヘルプカードとは、義足や人工関節を使用している方、発達障害や精神障害、知的障害のある方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からは援助や配慮が必要であることがわかりにくい方が身につけるマークである。このマークは、そうした方々が周囲に配慮を必要としていることを知らせることにより、援助を得やすくする目的で作成されたものである(大津市)。
私の周りには人工関節を使用している方が増えてきているが、そのほとんどがヘルプカードを取得したとは聞いていない。これは「ヘルプカード」の存在そのものが十分に広報されていないからではないかと考えられる。大津市の場合、ヘルプカードは大津市障害福祉課や各支所窓口にて配布されており、証明書や診断書などは不要である。そのため取得はさほど難しくないにもかかわらず、それが周知されていない現状がある。
一方で、ネット上ではヘルプカードが販売されていることに違和感を覚える。行政窓口にて無料配布されているにもかかわらず、ネットで流通してしまっている現状には問題があると言わざるを得ない。
私自身、今は立っていることに不安を覚えることがある。すれ違いざまに買い物かごが当たるだけでもよろけてしまい、駐車場から目的地までの距離に不安を感じる事もある。外見からは気づかれないが、体に不安があるからこそヘルプマークがほしいと思ったことがあった。そのことを友人に話したところ、友人が窓口からヘルプカードを受け取ってきてくれた。
ヘルプカードの入手は決して難しくない。そのため、体に不安を感じる方にはぜひ活用をおすすめしたい。ただし、一方で悪用される可能性があることも否定できない。たとえば無料で受け取ったものをネットで販売するなどの行為は許されるべきではない。それぞれが良心に従い、ヘルプカードを本来の目的で正しく使うことが大切である。
ヘルプカードは、見えない障害を持つ方が適切な配慮を受けるための大切なツールである。その意義を広め、きちんとした使い方を促すべきである。そして、一人ひとりがその目的を理解することで、見えない不安に気づき、支え合う社会が実現する事が望まれる。
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