京都・廬山寺のアオサギたち—消えたコロニーの行方

京都市上京区河原町通広小路には、紫式部の邸宅址としても知られる廬山寺がある。その向かいには京都府立医科大学病院が位置している。

先日、1年ぶりに医科大学を訪れた。毎年この季節に楽しみにしている廬山寺の境内にある大木が、今年は見当たらない。河原町通りを挟んだ病院側から目を凝らすと、その大木は無惨にも切られ、もはや木の姿とは思えないような状態になっていた。もちろん、その木に営巣していたアオサギの姿もない。


もしかすると「フン害」が原因かもしれないとは思ったが、どうにも納得がいかず、ネットで調べてみることにした。そして京都新聞の記事を見つけた。

記事によると、廬山寺側の説明では「墓石がフンでまだらに染まる上、子育てシーズンの5~6月には午前5時から午後10時ごろまで鳴き続け、近隣から苦情が寄せられていた。人間の勝手で申し訳ないが、このまま放っておけばさらに増え続ける。苦渋の判断だった」とのこと。伐採は昨年の4月8日に行われたという。2020年ごろからアオサギの営巣が始まり、最初は数個だった巣も次第に増え、伐採前には20以上の空の巣が樹上に残っていたらしい。

2020年といえば、ちょうど5年前。友人が手術を受けた時期と重なる。その後の通院期間、冬の寒い時期には、大木の上にたたずむアオサギの姿がどこか雄大で、勇気をもらえるような気がしていた。手術を経て、長い治療を終え、病院との縁が切れる日が近づいていた矢先、アオサギの姿も消えてしまった。

外部から訪れる私にとっては、このアオサギの存在が楽しみでもあったが、廬山寺が抱えていた問題を思うと、その苦慮も理解できる。しかし、今年2月に渡ってきたアオサギたちは、棲家を失い、どこへ行ったのだろうか。鳥が「路頭に迷う」ということはないのかもしれないが、それでも気がかりだ。

京都市内ではアオサギの姿が目撃されたというニュースもあった。水辺の鳥といわれるアオサギには、京都市内にいくつかのコロニーがあるようだ。それでも、今年はどこで暮らしているのだろうかと、思いを馳せずにはいられない。

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