惜しまれる閉店

霧ヶ峰
そこは博多の浄水通りにあった。
浄水通りは、落ち着いた大人の雰囲気がする町である。
何もない昼下がりは、自然と浄水通に向かい、ぶらぶらと散歩をすることになる。
その目的のひとつは、お気に入りのギャラリーの存在があった。
年に何度かの企画展があると、DMが博多から転送されて来る。
そのDMの写真はファイルするほどの出来映えであったが、今回はあっさりと、文字だけで
「ギャラリーの維持が大変困難になりました」と記されていた。
私には価格的に折り合いのつかないものばかりであった、にもかかわらず、浄水通りのその店を素通りすることは出来なかった。
何かしらいつも新しいものを、発信してくれて見ているだけで、ワクワクするのである。
はなから、買えると思ってない気楽さがあった。
が、無くなるとなると、住んでもいない町のギャラリーの終わりが惜しまれてならない。
バブル最盛期からその後を過ごし、やっと薄日が射し初めた今になっての閉店は、さぞかい心残りがしたのではないかと推測するしかない。
同世代と思われる、オーナーの優し気な笑顔を思いだしている。
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