器とともに巡る記憶の旅

40代から50代にかけて、器に夢中になった時期があった。着るものには関心がなかった分、料理雑誌を愛読し、そこに登場する器に惹かれたのがきっかけだった。
ギャラリーの展覧会があるたびに足を運ぶうちに、食器棚には収まりきらないほど器が増え、ついには箱のまま床に積まれるようになった。料理を引き立てるのは器の力だと信じ、器に頼る時期もあった。
そんな中、今回の「食器一掃作戦」で戸棚の奥を整理すると、懐かしい皿が姿を現した。
ブランド品でもなく、特別な器ではない。しかし、その一枚が新鮮に映り、購入した当時の記憶が一気に蘇る。
この皿を買ったのは、千葉へ転勤する際に前泊した「リゾナーレ八ヶ岳」でのこと。一目見た瞬間、心がぱっと明るくなったのを覚えている。転勤中はいつもそばにあったが、その後、博多に移った際に有田焼に魅せられ、次第に出番がなくなった。
しかし、久しぶりに取り出してみると、どんな料理にも寄り添ってくれる優れものだと再認識した。パスタを盛りつけると、驚くほど美味しそうに映える。
さらに、20年以上前の北欧旅行で購入したイッタラとマリメッコのコラボ皿も久々にレスキュー。長年眠っていた器たちを手に取るうち、断捨離のつもりがレスキューが増えていく。(トップ写真)
器を眺めていると、買い求めた国や地方の風景まで浮かんでくる。お皿を手にするだけで、過去の旅が鮮やかに蘇る。
そんな思い出とともに、また器と向き合う時間を大切にしたい。
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