受け継いだ、漆塗りのお櫃(おひつ)
先日東京ミッドタウンの「サントリー美術館」に漆塗りのお櫃が展示されていました。
見とれているうちに思い出しました。家にも漆塗りのお櫃があることを。
奈良に住む家人の下宿のおばさまが、まだご自宅で過ごされていた頃、漆塗りの汁粉椀、菓子鉢、
お櫃を頂きました。家には木曽を旅した折に、さわらのお櫃を買ってそれを使っているので、漆の方は仕舞い込んでいたのです。
さわらのお櫃は水分を吸い込んでご飯はふっくらと仕上げてくれるので気に入っているのですが、内側が手入れ不足で少し黒ずんできました。
私の身の丈には贅沢品ですが、もう残りの人生のほうが少なくなった事だしと今日から使い始めました。お櫃の下に敷くお盆、おしゃもじまで揃っていて、まことに優雅です。
2合のご飯ではお櫃の底に薄く並ぶ程度の嵩でしかなく漆のおしゃもじですくうとツルツルと米がその上で滑る。木しゃもじを使いたいけれど、ご飯が取れやすいプラスチックのしゃもじに流れている事に抵抗があった。
漆のしゃもじはこの問題を解決してくれた上に優雅な気分にしてくれる。
能登半島の珠洲に漆の宿「さか本」があり、そこで漆塗りのお風呂に入った時の感動が甦った。
私は漆が好きで日常にドンドン使っている。
使用後はリネンの布巾ですっきりと拭き上げる。どんなに疲れていても、漆のマナーは欠かさない。
恐れ多く仕舞い込んでいたけれど、日常で使いこなすほうがおば様は喜んでくださると思う。
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