『食堂 海辺の杣径』で感じた時間の流れ

塗師・赤木明登さんが震災の年に能登・輪島で開いたオーベルジュ「杣道」は、大きな被害を受けた。
それでも震災直後から、復旧に奔走する姿が日々発信されていた。
能登に赤木さんがいてくれることは、この土地にとって大きな支えになるだろうと、頼もしく感じていた。
その後、「杣道」の再建は難しくなったようで、海辺に新たに『食堂 海辺の杣径』を2025年にオープンした。
近所の人がふらりと立ち寄れるようにと、定食は2000円に設定されているという。
海辺の杣道から能登さくら駅まで車で30分ほどの距離である。
今回はここでランチを取ることにした。
席は予約ができるため、11時半に予約を入れた。
返信には、
2000円は野菜中心の定食、
甘味と飲み物を付けて3000円、
魚料理を加えると5500円、
それ以上はコース料理になる、
と丁寧な案内があった。
再訪の機会はそう多くはないだろう。
折角ならと思い、5500円のコースを選んだ。
海のすぐ近くに建つ建物は、大きな日本家屋だった。
開口部が少ないためか、室内はやや薄暗い。


窓辺に掛けられたポシャギの布と、花瓶に挿された一枝の桜。
そのさりげない設えには、確かなセンスが感じられた。

最初の一皿は、紅い漆の器に盛られた野菜料理。

出汁がよく染みた、やわらかな味わいだった。
続いて、白漆の器に盛られた三種のお造り。

このあたりで、もう一組のお客さんが入ってきた。
すると、料理の流れが止まった。
次の一皿まで、かなりの時間が空く。
旅の途中でもあり、1時間ほどで食事を終えるつもりでいたが、思うようには進まない。
その後、野菜料理、鱒の焼き魚、ごはん、汁物、デザートと続いたが、食事を終えるまでに2時間が経っていた。
正直に言えば、2000円の定食にしておけばよかったと思った。
後から来た別のグループは、私より先に店を出ていったのだから。
料理そのものは丁寧だった。
けれど、この時間をかけて味わう体験としてどうだったかと問われると、少し考えてしまう。
デザートは簡素で、お茶の提供はなく、最初に出された水のみ。

食後の飲み物はコーヒーのみで、砂糖やミルクの用意もなかった。
ここで2時間近くかかったのは、正直、計算外だった。
もしコース料理を選んでいたら、このあとの予定――さくら駅か、雨晴海岸のどちらかは諦めることになっていただろう。
旅の途中での食事の選択は、やはり難しい。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。












この記事へのコメントはありません。