予想を裏切る音の出会い ― 津軽三味線とハープのコンサート

驚きの連続とは、まさにこの日のためにある言葉だった。

今年大学生になる多田智大さんによる「津軽三味線」とハープのコラボレーションコンサート。
正直に言えば、私はほとんど予備知識もないまま、「津軽三味線」という言葉だけでチケットを予約していた。

数年前、津軽で聴いた三味線の音色に心を打たれた記憶が、今も鮮やかに残っている。できることならもう一度あの響きを味わいたい。そう思いながらも、津軽はあまりに遠い場所だった。

そんな折、2025年5月4日に弘前市民会館で行われた第43回津軽三味線世界大会A級の部で優勝した多田さんが、滋賀県出身だと知った。しかもその本人のコンサートが聴けるという。これは逃せない機会だと思った。

とはいえ、「津軽三味線とハープのコラボレーション」と聞いても、正直なところまったく想像がつかなかった。期待していいのか、それとも少し身構えるべきか。そんな気持ちで会場に足を運んだ。

最初の一曲は、ユーミンの「春よ、来い」。

意外な選曲に少し驚きながら聴き始めたが、すぐにその世界に引き込まれていった。三味線が主旋律を力強く奏で、ハープが水面に広がる波紋のようにやさしく包み込む。その音の重なりは、想像をはるかに超える美しさだった。

続く演奏も実に多彩だった。三味線の真骨頂とも言える「津軽じょんがら節」では、見事な撥さばきに会場から大きな拍手が沸き起こる。一方で、シャンソンの「枯葉」やピアソラの「リベルタンゴ」、さらには「津軽海峡冬景色」や「恋人よ」まで、ジャンルを越えた楽曲が次々と披露された。

これほど幅広い選曲にもかかわらず、不思議と違和感がない。それは、若い二人の巧みなMCの力も大きいだろう。軽妙な掛け合いはどこか漫才のようで、会場の空気を和ませながら、自然に次の曲へと導いていく。

気がつけば、私は最初に抱いていた不安をすっかり忘れていた。むしろ、次はどんな曲が来るのだろうという期待に胸を膨らませていた。

津軽三味線とハープ――一見すると異質な組み合わせ。しかしその出会いが、これほど豊かな音の世界を生み出すとは思いもしなかった。

このコンサートは、私にとって新しい音楽の扉を開いてくれた、忘れがたいひとときである。

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