果物ハンター、信州へ走る

昨年、わざわざ足を運んだ信州の桃は空振りだった。
その悔しさを晴らすべく、今年は準備万端で再挑戦することにした。

向かう先は、中央高速「松川」インターのすぐ近くにある直売所「もなりん」。ここの“茶箱”を手に入れることが、今回の最大の目的である。信州の茶箱はまだ未体験。どうしても手に入れたかった。

移動距離は3時間半ほどだが、少し早めに家を出たので、到着は午前9時前になる見込みだった。茶箱は9時の段階で店頭に並ぶという情報も得ていた。

ところがどっこい。中央道は早朝から工事渋滞。まさかの30分足止め。ナビは無情にも「到着は9時半」と告げてきた。

「ああ、茶箱はもう無理かも…」

とりあえず気持ちを立て直そうと、サービスエリアでサンドイッチの朝食。
しかし、これが思わぬ代償を生むことになった。


「もなりん」に着いたのは午前10時。駐車場は思ったほど混んでいなかった。
そしてそのとき、目の前を茶箱をいくつも抱えた人が通り過ぎた。

「ある!」

足の痛みも忘れて店舗へダッシュ。
「はい、最後のひと箱ですよ」と、茶箱担当の方が手渡してくれた瞬間は、本当に嬉しかった。
けれど、どうしても頭をよぎるのは、あのサンドイッチのこと。
もし食べていなければ、あと5分早く着いて、もうひと箱買えたのではないかと思うと、やはり悔しさが残る。

ところで、「わざわざ高速を飛ばさなくても、デパートで良い桃が買えるじゃない」——そう言われることもある。

しかし、デパートには“茶箱”がない。

茶箱とは、小さな傷や見た目の理由で正規品から外された桃のことである。たまに味の落ちるものもあるが、ほとんどは十分に生で食べられるレベルだ。それでいて価格は半額以下。見逃せない魅力である。

けれど、私が茶箱にこだわるのは、値段の問題だけではない。

この茶箱の桃を使って「コンポート」を作るのが好きだ。
冷たく冷やして、ゆっくり味わう。それが何よりの楽しみである。
正規価格で買った高価な桃には手など加えられない——という、貧乏性もある。


今年はコンポートだけでなく、アイスクリームやシャーベットにも挑戦してみたいと思っている。

果物のためなら、私の体も頭も、信じられないほどフル回転する。
けれど、それが終わった瞬間、まるで嵐が通り過ぎたあとのように、何もする気が起こらない。

にもかかわらず、柿の季節がやってくると、また同じ道を走っているのだ。

懲りていない、と自分でも思う。けれど、やめられない。

それだけ、私にとって果物というのは、心を強く動かす存在なのだろう。
懲りないなあ、と思いながらも——たぶん、それが私の「果物ハンター」としての本能なのかもしれない。

今年の夏は、そんな果物に振り回されっぱなしの毎日だ。
でも、それもまた、悪くない時間だと思っている。

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