Sさんとの京都府立病院へ通った4年半

来年の2月で、Sさんが肺癌の手術を受けてから5年が経過することになる。昨日は、そのSさんの付き添いで京都府立病院に出かけた。振り返れば、今から4年半前「癌かもしれない」という医師の説明に、言葉を失うほど驚いた。自覚症状がなかったため、当初はこのまま様子を見たいと言うSさんを急き立ててセカンドオピニオンを受けた。ペット検査ができる京都府立病院で検査を受けることとなり、その結果、初期の肺がんが発見された。医師から早期の手術を勧められ、検査から3ヶ月後に手術を受けることになった。

その頃、日本はコロナによる厳戒態勢に入っていたが、3月の手術時にはまだ規制がなく、家族も付き添うことができた。術後、切除された部分を見るかどうか尋ねられ、思わず「はい」と答えてしまったことが思い出される。血が滴る肺の一部が膿盆に載せられて控室に運ばれてきた時、その患部を凝視した瞬間は、今でも鮮明に記憶に残っている。肺の上部を切除したにもかかわらず、レントゲンでは翌日には肺は元の形に治まっており、空洞は肺の下部に出来ているのを驚きをもって見た。
手術後の経過は順調で、Sさんは1週間程度で退院した。その間、毎日病室に入れたのは、Sさんに特別な幸運があったのだろう。退院直後から病院は面会禁止となり、もし手術を先延ばしにしていたら、1年以上も待つことになり、肺がんがさらに進行していたかもしれないと思うと、彼女は本当に幸運だった。

それから約5年間、Sさんは主治医と共に歩んできたが、今日、ついにその主治医から「次の検査で終わりにしましょう。この検査後に病院に来る必要はありません」という言葉をいただいた。術後2ヶ月ごと、3ヶ月ごと、4ヶ月ごと、そして半年ごとに続けた通院。暑い日も寒い日も、雪の日も、コロナ禍の中で駐車場を探して右往左往した日々もあった。
本日は、その全てを喜びに変えて、二人で病院の四階にあるレストランでお祝いのランチをした。このレストランに来るのもこれが最後だと思うと、喜びがこみ上げてきた。

寒い季節には、病院前の大きな木にアオサギの巣ができており、その大きなサギの姿を見るのが楽しみであった。今は真夏なのでサギの姿は見えなかったが、また巣を作るであろうその大木にも別れを告げた。

帰り道、これまでの幸運な経過を思い出して、車の中で色々と語り合いながら帰った。
Sさんとの病院通いが終わりを迎えたことを実感し、心から感謝の気持ちでいっぱいである。

Sさんは6月のBlog「ダンスが彼女を救った – 友人とのエーゲ海クルージングの思い出」にも登場している。

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