姪の台所革命—目からウロコの主婦ぶり

姪に台所を明け渡して2週間が過ぎた。
私は50年以上主婦をしてきたと自負していたものの、彼女の動きを見ているうちに、自分とはずいぶん異なる生活背景があることに気づかされた。

彼女はまず冷蔵庫やパントリーをすべてチェックし、賞味期限が怪しいものや、長らく放置されていた食材を白日の下にさらした。
「これはもう無理」「こっちは工夫すればまだいける」と言いながら、次々と判断していく様子に、私はただ感心するばかりだった。
私は一切関与せず、捨てるも加工するもすべて彼女の判断に任せた。
すると、まるで手品のようにおばんざいが次々とテーブルに並べられ、家族は驚きを隠せなかった。

朝こそ私の定番である蒸し野菜が並ぶものの、昼には思いがけない料理が食卓に登場した。

例えば、熱いそばには、冷凍庫に眠っていた期限切れのはんぺんが入っていた。だしが美味しく、家族からは「これはアリだね!」と絶賛の声が上がった。
少しだけ残っていたシュウマイとキャベツコロッケの冷凍食品も、油で揚げるのではなく、フライパンでカリカリに焼き上げられ、意外な美味しさに変身。
「これ、冷凍食品だったの?」と驚くほどの出来栄えだった。

姪はくるくると動き回り、食材を見事に活用していく。
そして、ひと仕事終えると、スーッと眠る。その姿はまるで、短い時間でエネルギーを最大限に使い切るアスリートのようだった。

これまで、他人と自分の家事能力を比べる機会などまったくなかった。
しかし、目からウロコの主婦ぶりを目の当たりにし、いつも上から目線で指導してきた私は、すっかり恐れをなしてしまった。
もはや彼女を尊敬するしかない。

彼女の話を聞くうちに、私の知らない結婚生活の始まりについても知ることができた。
商家の主婦というのは、私には想像もつかない激務だったらしい。
朝早くから夜遅くまで、家業の手伝いや食事の準備、取引先への気配りなど、休む暇もなかったのだろう。
それを乗り越えてきた彼女のに、「お帰り」と言いたくなった。

商家の主婦は、一日にしてならず——。

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