自然の恵みと職人の技—夏の終わりに届いた竹ざる
今年の夏は、台風の雨すら待ち遠しく感じるほどの日照りが続いていた。しかし、夜の間に少し雨が降ったようで、昨朝は雑草まで生き生きとしていた。
娘が「雨は植物のプロテイン」と上手い事を言った。植物たちはこの恵みを待ち望んでいたのであろう。
日中は依然として30℃を超える厳しい暑さが続いているが、植物たちは確実に季節の移ろいを感じ取っているようである。散歩の途中の「萩」の花が色づき始め、アメジストセージも背を伸ばしながら元気に育っている。少しずつ秋らしい風景に変わりつつあるが、体感的にはまだ真夏のように感じる。9月に入ったというのに、この暑さでは余計に腹立たしく感じられる。
そんな中、昨年6月に四国・愛媛県内子町で出会った竹細工の作家にオーダーしていた水切りざるが届いた。
竹で編まれた篭や笊(ざる)は、私が生まれた九州では日常的に使われていたが、最近では高級品となり、日用品としては使いにくくなっている。しかし、内子町で出会ったその作家は、手頃な価格で生活雑貨としての竹細工を提供していた。
「1年お待ちを」と言われていた。14か月後、すっかり忘れていた今日その竹ざるが届いた。竹を細く割って編み上げる作業は、竹の準備に多くの時間を要するとのことだが、実際に手に取るとその細やかな仕事を感じる笊が特別なものに思える。こうした自然素材で作られたものに、ますます魅力を感じるようになってきた。
この竹ざるが届いたとき、旅先での風景や空気感までもが一緒に蘇った。作家と「台風は大丈夫でしたか」とお互いを案じ合いながら、懐かしい内子町の思い出に浸るひとときであった。
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