図書館で1年半待つより、メルカリで買うという選択──『潮音』購入体験記

久しぶりに近所の書店を訪れたところ、宮本輝の新刊『潮音』4巻が平台に並んでいた。
『流転の海』を夢中で読みふけった日々を思い出し、今回の新作にも心が強く惹かれた。
しかし、1冊2420円という価格は、4冊揃えればほぼ1万円近くになる。以前であれば迷わず購入しただろうが、このご時世、即決するには躊躇があった。

最近は、新刊であってもまずは図書館を確認するのが習慣となっている。
『潮音』も例外ではなく、予約しようと検索してみると、すでに55人が待っていた。
先日、内田也哉子の『blank page』を予約した際も50人以上が待っており、実際に手元に届くまで1年半を要した。さすがに今回はそれほど待てそうにない。

次に中古市場をあたってみた。バリューブックスでは、1冊おおよそ2000円。送料250円を加算すると、書店価格とさほど変わらない。
それでは意味がないと判断し、メルカリを覗くことにした。
メルカリは人気作に関しては売り切れが多く、価格も2000円〜3000円台と幅広い。しかし、送料込みが基本である点が大きな魅力である。

そんな中、4巻セットで7500円という出品を見つけた。
なぜこの商品だけが残っているのか不思議だったが、定価より2000円以上安く、しかも状態も良さそうだったので、即購入を決断した。
さらに、保有していたクーポンが適用され、そこから1000円引き。最終の支払額は6500円となった。

購入後、すぐに「発送します」との連絡が入り、翌日午前中には自宅に届いた。
1冊ずつ丁寧に包装されており、一度読まれたとは思えぬほどの良品であった。
最近では「売ること」を前提に本を読む人も多いという。
読み終えたら速やかに出品し、次の読者へと繋げる。そんな本のリレーが、ネットを介して成立しているのだ。
図書館で1年半も待つことを考えれば、多少の出費があっても、すぐに読めるメルカリの方が合理的である。
これは、高価な本を複数人で共用する「現代版の共読」とも言えるだろう。

『潮音』は、私が最も惹かれる幕末から明治初期の時代を舞台にしているという。
本の装丁を眺めるだけで、心が躍る。
これからページをめくる時間が楽しみでならない。

今回の経験を通じて、本を買う手段はもはや書店だけに限られないということを改めて実感した。
図書館、バリューブックス、メルカリ──それぞれに利点があり、読者として選択肢が広がったことは実にありがたい。

今後も、読みたい本を賢く、柔軟に手に入れていきたいと思う。

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