群言堂 松場登美氏の「福吹く暮らし」:共通する生き方
松場登美さんの生き方には、年齢が近いこともあって、ずっと注目してきた。
彼女が手掛ける「群言堂」というブランドの由来を知ったとき、私の考え方と共通するものを感じたのがきっかけである。
そんな中、図書館で手に取った登美さんの「福吹く暮らし」は、彼女の生活感が詰まった一冊であった。
古道具の中に古さの美を見出し、それを現代の道具としてよみがえらせて、物の命を最後まで全うさせるという徹底した暮らし。登美氏は旅館で使わなくなった浴衣を譲り受け、チクチク縫って布巾にし、洗面所の水拭きなどに使っているそうである。「浄布となってその一生を終える。人の一生もそうありたい」という言葉が心に響いた。
この本の中で特に心に残ったのは、最後の2ページに書かれていた「心想事成」という言葉である。「心に想うことが成る」あきらめずに思い続けると、強く想う気持ちはエネルギーになる。そして、天からスイッチを押される日が必ず来る、というのは登美さんの経験から来ているのであろう。
実は私も、常にそう考えてきた。家人の定年後に、誰も想像しなかったskogを立ち上げたのも、10年で閉めて自由に生きることを選んだのも、自分の中に設計図としてあった。それはまさに同感の言葉である。
「おわりに」に書かれていた「人は人生において、出会うべき人には出会うべくして出会う」という言葉も心に残る。それは人だけでなく、ものや出来事も出会うべくして出会っている。80年近く生きてくると、この言葉が本当だと実感できる。
登美さんがお母さまから教わったという「授かり」という言葉も印象的である。良いことがあっても悪いことがあっても、それは授かり。それをどう受け止めるかが天から試されている、ということであるそうだ。
私もskogでたくさんのお客様に出会った。もしskogがなければ決して出会うことのなかった方々も、今では20年来の友達になり、私の生活に刺激を与えてくれる。一見無謀な計画だったかもしれないが、自分の老後のスタートには必要なものであった。天からのスイッチを押されて始めたskogでの出会いが、今は友となり、共に人生を豊かにしている。
趣味の園芸では、日本中のガーデンを訪れ、北海道や静岡に親しい花友ができた。登美さんと私の根底に流れるものには、やはり共通の流れを感じる。
それは多分、私と登美さんだけではなく、私の友人の方々も同じ思いであろうと察している。
群言堂の由来
「群言堂」の由来は、私たち仲間が集まってお酒を飲みながら、美味しいものを食べ、語り合っている様子を見たある留学生が、“中国では、こうしてみんなが目線を一緒にして意見を出し合いながら、いい流れをつくっていくことを“群言堂”という”と教えてくれたことがきっかけです。
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