草原の椅子 ‐ 宮本 輝

大聖堂を読んだ後、次に読む本が見つからず、つなぎに宮部みゆきの本を2冊買ったが、最近の本はやたらと幽霊や霊感で話の展開をする場面が目立ってつまらない。
先日ふらりと寄った、大きな書店に「草原の椅子」がどっさりと平積みされていた。
著者を見ると宮本輝だ。

宮本輝は、好きな作家の一人だ。
まだ上巻を読み終えた所だけれど、すっかりはまってしまって、夜毎の読書時間が楽しい。
この人の本は読むほどに味が出る。
周りの描写がいいのかもしれない。
あたかも自分が今、本の中にいて、同じ時を過ごしているかのような錯覚をする。

本の登場人物は、非常に少なくカメラ会社に勤める遠間憲太郎(50才)とカメラ量販店社長(50才)の冨樫を中心に書かれている。
もうひとりは遠間が心惹かれる骨董店オーナーの貴志子が登場する。
人生にちょっと疲れた50才の男2人と30代後半でバツイチの女1人を中心に物語は展開する。
そして、その3人をつなぐ4才の子供、圭輔が重要な役を持ち4人のフンザ行きを決意させる。

宮本輝は神戸淡路大震災で自宅を失い、沢山の大事なものを失った。
その後シルクロードの旅に出てパキスタンのフンザに出会った。
そこはこの世の最後の桃源郷だったらしい。
小説の中でもフンザは度々登場して疲れた大人はそこへ向かって歩こうとしている。
生きていれば避けられない、仕事の困難、家庭内の摩擦、日本という国に対する言いようもない不満と不安と焦燥感は心の中にポカリと穴を開ける。
心の穴の本当の姿は何だったのか。
フンザに行けば穴は埋められるのか。
小さな子供を育てるという行為は大人の心を充たせるのか。

下巻を楽しみにしている。
草原の椅子が映画になっている。しかも今上映中だ。

「楽しみにしていた」下巻


フンザは4000m~7000m級の山に囲まれた農村だそうだ。
これはウブドの畑風景 似てないナ。

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