BT’63 ‐ 池井戸 潤

レイクガーデン

京都に出かけると、大きな書店があるのでついでに寄るけれど、そこが一番長くなり、まるで書店に出かけたようになる。
文庫の新書をざっくりと見て歩く。
面白そうな本に出会わない時は「真山 仁」 と「池井戸 潤」のコーナーを探しに行く。
久しぶりだったので、ご両人とも新しい文庫が見つかり読書の秋を楽しんでいる。

池井戸潤著「BT’63」は今までの池井戸作品とは全く違う作品だった。
主人公の父親が残したBT21号のキーを持つと、父が働く時代にタイムスリップして、父と主人公の大間木琢磨がシンクロしてしまう。
時代の背景は昭和38年、若き日の父親は運送会社に勤務し、新規事業を立ち上げる。
が、呪われたBTの深い闇は会社も新規事業も飲み込んでしまう。
BTというのはBonnet trackの略である。
池井戸氏は汗と油と埃がムンムンと舞うようなトラックターミナルの様子を丁寧に描ききっている。
夜の灯りの中にボーッと浮かぶBT63の醸し出す不気味な雰囲気。
登場人物の顔が想像出来、着ている服も性格までも手に取るように分かった。
まるで大間木琢磨は私ではないかと思うくらい、毎日トラックターミナルの男たちを見ていた。

池井戸小説は銀行ものと思っていたけれど、この本はミステリーであり完全なフィクション。
今までの作品とのあまりの違い様に、半分裏切られたような気がしないではなかったが、途中から息を詰めて一気に読んだ。
読了後、子供のように怖い夢を見た。

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