孤高のメス 外科医当麻鉄彦 (続編)神の手にはあらず ‐ 大鐘 稔彦| 堤 真一 監督:成島 出

大鐘稔彦著「孤高のメス」来年、映画になるそうです。
全部で6巻の文庫本です。(その後、続編が発売されました。)
読み始めると先を知りたい思いから、早い時は2日で1巻読めました。前人未到の脳死肝移植を成功させた外科医である当麻鉄彦の物語です。

病院の舞台が滋賀県。しかも湖西という設定は読み始めて分かったのですが、
風景が目に浮かぶだけにとても読みやすい本でした。
1巻目はノロノロと読み2、3巻はエエッーという感覚で急いで読み、4巻以降は「あれ、これ何かに似てる」と思いながらも展開の早さにあっという間に読了しました。
この本の前にも本は何冊も読んでいるのですが、感想を書く前に次の本を読み始めると、前の本の事は忘れてしまうのです。

そんな中でも「孤高のメス」は最近読んだ中ではのめり込んだ本です。
何かに似ていると思ったのは、痛快時代小説です。向かうところ敵なしの強い剣で悪を懲らしめ善を助ける、若く可愛い町娘の憧れ、ところが本人には過去の暗い思い出が哀愁のある雰囲気を作り魅力を増しているという主人公の設定が剣がメスに変わった感じだなーと思いながらも「睡眠時間を削っても」と読んでしまいました。

当麻医師が初めて脳死肝移植を成功させたのは1999年だそうです。
1998年に脳死論議に結論が下り、脳死は人の死とされながら、依然として心停止こそ人の死という声も強く、脳死肝移植はいまだに進んではいないようです。その代わり生体間移植は世界で最多を誇るそうです。
医師として卓越した能力を持つ当麻医師は大学病院ではなく湖西の小さな病院でこの手術を成功させましたが、反発する勢力による激しいバッシングで日本から去って行きました。
当麻医師は、一般的で簡単な手術も出来ない医師がいる現状から、外科医の認定医や指導医の試験に「実技テスト」を取り入れるべきと提案しています。
最近は心臓外科医の領域では実行に移っているそうです。

家人の胆石摘出手術や、義兄の皮膚がん手術を経験して外科医の腕に不信感を持っています。
「神の手」と言われる医師に手術依頼が殺到していることからも、
手術は医師の技量によるところも本当です。

話がそれました。この本はいかにも日本らしい展開をしていきます。
それだけに「うん、分かるわかる」となるわけですが、
人間の嫉妬は陰湿で本の世界でもすさまじい。現実は小説以上のすさまじさか。
ああ~

孤高のメス―外科医当麻鉄彦〈第2巻〉 (幻冬舎文庫)
孤高のメス―外科医当麻鉄彦〈第3巻〉 (幻冬舎文庫)
孤高のメス―外科医当麻鉄彦〈第4巻〉 (幻冬舎文庫)

続編(全4巻)

孤高のメス―神の手にはあらず〈第2巻〉 (幻冬舎文庫)
孤高のメス―神の手にはあらず〈第3巻〉 (幻冬舎文庫)
孤高のメス―神の手にはあらず〈第4巻〉 (幻冬舎文庫)

※さらに続編が発売されました。

映画版DVDもあります
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