松本の「陶片木」で、心満たされるひととき

松本に行くと吸い込まれるように立ち寄る店がある。
白壁の商店が並ぶ中町通りの外れにある「陶片木」である。
中町商店会のHPに書かれた陶片木のコピーが素晴らしい。

うつわ屋でございます。一つお求めいただければ百の悦びをお約束いたします。

店主の小林仁さんの目利きによって選ばれたアイテムが器好き、道具好きを惹きつけている。
決して高価なものではなく、旅の途中の出来心でも買える範囲であるのが嬉しい。
今回は友人の誕生日プレゼントを探しに寄った。
波佐見の「藍水窯」の作品でタンポポの花を描いた素朴なカップを見つけた。
それだけの積りだったのに、しかも時間もないのに、あれこれと見てしまう。そこにある器も魅力的ではあるが、店に流れる空気感が居心地を良くしているせいだ。狭い店内だから時間はかからないが、時間をかけて行きつ戻りつ、持ち帰るものを探さずにはいられない。
今回のお持ち帰りはすり鉢だ。すり鉢料理が好きなのだ。

軽く炒った胡麻をパチパチとはじかせながらすり潰し、醤油を垂らし、砂糖少々と一緒にすり潰し、いい香りが立ったところに青く茹でたほうれん草をパッと入れて和えたならどんなにか美味しいだろうか。

岩手の野田村に泉田之也さんの工房があり、最近の展覧会はアート作品が目を惹くけれど有名な「片口すり鉢」も作っている。

工房にお訪ねして、すり鉢を見せて頂いた。一番小さなすり鉢しか在庫はなかった。
しかし、そのフォルムの美しさは私の心を捉えてしまった。器としても使える大きさだからと持ち帰ったが、中々出番がなく、そこへ次のすり鉢を買おうとするものだから家人は呆れていた。

このすり鉢はどっしりと重く、一人でも使い易く出来ている。大根おろしも、山芋も下ろせると店主の説明は私の気持ちに沿っている。
「金属の大根おろしは終わりがけが怖くて」という私に木製のおろし器を見せてくれた。「鬼おろしとは違うんですけれど、最後まで綺麗に擦れますから」というのだ。

実は、我が家ではおろし器を使うのは家人の仕事である。けれど木製は珍しかったのと、家人の指先の安全の為に頂くことにした。
包装して頂く間、2階のギャラリーを見ていると、又心が揺れる。

「次に来る時のお楽しみにするわ」と心をなだめて、陶片木を後にした。

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