震災被災地のガーデンー石巻市雄勝

宮城県石巻市雄勝(おがつ)町は「日本一美しい漁村」と呼ばれていた。
その雄勝を襲った大震災と津波は町の様子を一変させた。

震災の年に、津波で流された家族の霊をとむらうため、被災した実家跡地に徳水利枝さんが花を植え始めた。
その後、彼女の思いに賛同した地域住民やボランティアたちが、雄勝の街を花と緑の力でよみがえらせようと復興プロジェクトを立ち上げ、本格的な英国風ガーデンに仕上げた。
それが、『ローズファクトリーガーデン』である。
すぐ傍の道路の両脇は、草地が広がる。
震災前、ここに600世帯が暮らす町があったことは、初めて訪れた者には想像も出来ない。
今、何もないことが、高さ10メートル以上もの津波が襲った事実を物語る。

ビルの上に上がったバスや、建物に突き刺さった漁船を河北新報社の写真集で見た生々しい記憶がよみがえる。
重い記憶の雄勝に、沢山の人たちが関わって出来た「イングリッシュガーデン」を観たくて訪問した。

薔薇には早い時期で、ビオラや勿忘草やローズマリーのブルーの間に、色とりどりのチューリップが賑やかに咲いていた。
晴れ上がり、汗が出る暑い日だったけれど、数人の女性が花の手入れをしていた。
コロナ禍で訪れる人は少なくても、季節が来れば花は咲く。
いつ誰が来てもいいように、手入れは続けられている。

このガーデンの石積みは穴太式と言われたので、穴太式の本場坂本の住民としては親近感がぐぅーんと増した。
「植物の力は人を蘇らせる」と言われていることの証のようなガーデンだった。
周りは何もない、
そこにあるのは、笑顔とガーデンだけ。

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