タムシバ咲く季節に思う、日本の未来

比良の山々に「タムシバ」がちらほらと見え始めた。木蓮そっくりの白い花でありながら、その名は「タムシバ」という。木蓮は花の裏に葉が一枚付いているが、「タムシバ」は葉を付けずに咲くといわれている。
この花が山に見え始めると、本格的な春の訪れを感じて嬉しくなる。

さて、四月は新入学の季節だ。家の近くにある高校の前を通りかかると、登校時間には先生が旗を持ち、生徒を横断させているのを見かける。ある日、少し早い時間に通ると、先生一人に生徒一人。その前で止まったものの、何か腑に落ちなかった。

雨の日には、近くの駅から相乗りタクシーで登校する生徒もいるという話を聞いた。高校生をここまで過保護にしてよいのだろうかと将来を案じていたところ、ある日、思いもよらぬ話を聴いた。

高校の前は通勤道路でもあり、登校時間と通勤時間が重なるという。ところが、生徒たちは列をなすことなく、途切れることもなく横断を続けるため、通勤の車は思わぬ時間を要してしまう。こうした苦情が学校に多く寄せられた結果、先生が横断場所に立つようになったそうだ。

それは正しい指導なのだろうか。手っ取り早い対策ではある。しかし、彼らは十五歳から十八歳の高校生だ。十五年間、何を学んできたのだろうか。

交通ルールを守ること、自分自身で判断し行動することは、社会に出る上で重要な力である。学校がその場を取り持つことで安全は確保されるかもしれないが、生徒たちが自主的に考え、行動する機会を奪ってはいないだろうか。社会は常に彼らを守ってはくれない。進学や就職を迎えたとき、あるいは将来、困難に直面したときに、自らの力で道を切り開くことができるのか。

教育とは単に知識を教えるだけではなく、生きる力を育むことでもある。果たして、今の教育はその役割を十分に果たしているのだろうか。日本の将来が心配でならない。

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