駒ヶ根、最後のソースかつ丼

飯田市は暑からず、寒からず。
澄んだ空気の中を車で走っていると、久しぶりに、駒ヶ根の「ソースかつ丼」が恋しくなった。
十年ほど前に訪れた時のことを思い出す。
あのときもカツ丼を食べ、「早太郎温泉 こまくさの湯」に浸かって帰った。
湯上がりの体はぽかぽかと温かく、心地よい疲れを抱えたまま、三時間の道のりを車を走らせて帰った。
あの頃はまだ、そんな元気があった。
今ではもう、温泉に入るとすぐに眠くなってしまう。
立ち寄り湯など、すっかりご無沙汰である。
それでも車のトランクには、かつての名残のように入浴セット一式が今も積まれたままである。
福井県に行けば「ヨーロッパ軒のソースかつ丼」が有名である。
どちらが元祖かは分からないが、駒ヶ根のものとよく似ている。
そのときは完食できず、持ち帰った記憶がある。
さて、駒ヶ根のかつ丼はどうだっただろう。
記憶の中では残さず食べたように思う。
今回も懐かしさに誘われ、「ヒレカツ、ご飯少なめ」で注文した。
しかし、運ばれてきた丼は想像を超えていた。
ヒレ肉が丼を取り巻くように立てられていた。その迫力だけでお腹がいっぱいになりそうであった。
カツはウスターソースにくぐらせてあり、香ばしく、程よい酸味が食欲をそそる。
カツの下には厚くキャベツが敷かれており、その下にご飯があった。
カツをどけ、キャベツをどけ、ようやく辿り着いたご飯。
しかし、四枚のカツのうち二枚を食べたところで、もう満腹であった。
持ち帰りをお願いすると、店員は慣れた手つきでパックを差し出してくれた。
辛子と追加のソースまで添えられている。心配りがうれしい。
とはいえ、落ち着いて考えれば、なかなかのお値段のカツ丼である。
多分、これが最後のソースかつ丼になるだろう。
もう食べきれないのだということを、自分自身に確かめたような気がする。
駒ヶ根には、これまで幾度も足を運んだ。
年に数回は訪れる、大好きな町である。
カツ丼はもう無理でも、南アルプスと中央アルプスが並び立つこの町の風景は、いつ見ても美しい。
北アルプス
南アルプス
澄んだ空気と、遠くに霞む稜線。
この町に来ると、二つのアルプスの姿に心が和むのである。
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