旅とメガネと市田柿

信じられない事が起きた。
家を出てから未だ2時間も走ってないのに、いきなりメガネが壊れた。
メガネを拭こうと下を向いたら何かおかしい。
体を起こすとメガネの右のレンズがぶらーんと下がっている。
鼻の所一カ所を蝋付けしてあるだけのメガネなので蝋が外れると修理に出さなければ治らないだろう。
帰り道なら未だしも、これから出かけようとする時にこんなアクシデントが起こるとは、ついてない。
元々右目はあまり見えてなかったから、片目でいいかと覚悟した。

この日は、飯田市高森町の柿農家さんと約束があってAM9:00に到着しなければならない。
3連休の初日とあって道路は渋滞で約束の時間にも遅れている。

「どうして、渋滞が予想される時に出かけるの?」と聞かれたけれど理由は毎年11月の最初の土曜日に柿農家さんの渋柿を頂きに行くのが恒例になっているから。
普段は仕事をしているから土日しかお会いできない。
数年前に市田柿が「すだれ」になっている風景が見たいとふらりと出掛けて柿畑で出会った。
それからのお付き合いだ。
お茶のごちそうもお断りして、眼鏡屋探し。
未だ眼鏡屋さんは開いてない。
高速に乗って豊田飯山ICまで行くしかない。
ICを降りると「カインズ」の大きな店舗があって中には眼鏡屋さんがあった。
「これは修理に出して1週間はかかります」
予想された応対だった。
「そこを何とか、セロテープで応急処置できませんかねー。これから清津狭に行くんですよー。」というと「やってみましょう」と言ってくれた。
「乱視があるのでゼムピンで動かないように止めました」
外から見れば可笑しいけれど、私には神様の贈りもののように有難かった。




お陰で3日間の旅はつつがなく終わり、帰り道には五箇山まで足を延ばした。

この話にはおまけがある。
家にある予備のメガネをかけると、右は見えるのに左は全く見えない。
こんなに目が悪くなったのかと翌日お世話になっている眼鏡屋さんに行った。
「急に左目が悪くなったんですよ〜」と言ってメガネを出すと「あらまぁ〜、レンズが入ってなかったわ…」

メガネの修理は予算以上の修理費と日数がかかるようなので、久しぶりに新しいメガネを新調した。
予備のメガネレンズが我が家の抽斗から出て来たのは幸いだった。
一昨日、新しいメガネが出来て予備のメガネも用意した。
久しぶりのメガネの新調は洋服を買う以上に楽しかった。


ここ数年白内障の経過観察で眼科に通っているけれど、新しい眼鏡にしたら見えない右目が左目以上に見えている。
怪我の功名かと喜ばしい。

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