雨の日のシェフ:家人の手料理物語

一日じっと座って過ごすことが苦手な家人は、大雨の降った日に、夕食作りを引き受けてくれた。豚ロースの塊と野菜をダッチオーブンでじっくり焼く料理と、付け合わせは一人に小さな玉ねぎ一個を使ったスープが彼の得意料理である。
パソコンの前に座って入念にレシピの確認をしている様子だったが、そこに冷やかしの言葉をかけることは厳禁である。
ありがたい申し出だったので、お昼を済ませると私と姪は心置きなくシアター三昧で、優雅な盆休みを過ごした。
夕方が近づくと、何やらよい匂いが漂ってくる。
どこからともなく漂うその匂いの正体は、家人の料理のようだが、彼はキッチンを使わず、外で調理するのが良いらしい。
いつもなら下準備のときに声をかけられるのだが、今回は一言もなく、すべて自分で進めていた。
出来上がった料理を、早く食べてほしいらしく家族を呼び集めて、やおらご披露となった。
おお、中々の出来映えである。
ところで、この人参は?冷蔵庫に一本あった。
うん、あったね。一本しかないから大事にしてたんだわ。
このベーコンは?冷凍庫から出したもの。
そうそう、もしものために冷凍しておいたよね。今日はまさにその「もしも」だった。
なるほど、だからこその今回の美味しさだったのか。
しかし今回は本当に美味しく、家族一同大満足の夕餉となった。
調味料はレシピ通りきっちり計ったに違いないが、本人は「かんピューター」と言っているので、まあそういうことにしておこう。
毎日シェフをしてもいいよ、と伝えているが、今のところ彼のレシピはこれ一枚しかなさそうだ。
次回の雨降りもまた楽しみである。
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