入れ歯と私の家族

私は母の入れ歯で相当苦労した。
どんなに作っても合わないらしく、合わせて下さる先生を求めて西に東に奔走した。
長姉もそうだった。
そこへいくと姉母は、東京時代にお友達の歯科医院で作った入れ歯が余程合うらしく、なんでも食べてくれた。
今、一番手がかかっているけれど食べさせる苦労はなかった。

ところが、今日はデイサービスで歯が痛いと言い出したと知らせがあった。
昨夜の食事時は何も言わなかったのにと思いながらデイのノートを見るとお昼も完食している。
姉母の口を覗いても暗くて分からないけれど、どうやら奥に1本残っている歯の辺りらしい。
夕方の6時を回っているけれど、「藤本歯科医院」院長の洋子先生にお願いするしかなかった。

明日は休診日なので、今からでも診て下さるというので、急いで駆けつけた。
誰も患者さんが居なくなった医院に煌々と灯りをつけて、洋子先生をはじめスタッフの皆さんが出迎えてくれた。
いつも行く医院なのに車いすの姉母を連れて行くと、車いす仕様になっている医院の設備に初めて気が付いた。
子供や高齢者に優しい医院の作り方は洋子先生独自のお考えによるものだろう。
その立場になってみると、身に沁みて有難く思った。

洋子先生の見立てでは、先日のインフルエンザで一気に痩せた時に、歯茎も痩せてしまった。
そこに31gもの重い入れ歯をいれると痩せた歯茎では支えきれずに擦り傷を作っているとの事。
入れ歯を削って下さったけれど、削りにくい素材を使った入れ歯であるらしく何度削っても「痛い」を連発するばかり。
根気よく何度も何度も削っていくと、突然ニコッとして「痛くない」と言う瞬間に至った。
喜んだのは姉母よりも洋子先生だったかもしれない。
いや、私だったかも知れない。
医院の中に安堵が広がった。
遅い時間だったけれど、歯は食事には大切なものだし、今夜我慢させて明日の朝に治るものではないので、私もつい無理を言ってしまった。
それを受けて下さった藤本歯科医院の院長先生、スタッフの皆様に心からの感謝を申し上げたい。

明日から姉母の歯磨きと薬を塗る仕事が加わった。
食事のとれない母や長姉の時は、本人も介護する家族も大きなストレスになった。
姉母はその点だけは優等生。
今後も美味しく食べてもらうために歯磨き頑張るしかないな。

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