姉母語録|集団生活で生きるすべ

姉母の食欲は素晴らしい。
同じテーブルの中では多分一番だろう。
器の底に残ったものは自力では食べられないので、私がスプーンで運ぶとキッチリ食べてくれる。
完食と言うのは気持ちがいい。

その横顔を窺うと、どこを認知症というのだろうかと思える。
「ねえ―、どこまで分かってる?」と私が聞くと。
「何でも分かってるけど黙ってるだけ」と真っ当に答えてくれる。
「何故黙ってるの?」と聞くと。
「黙ってたら人と争うことは無いやろ」と言った。
もう、びっくり。
集団生活の生きる知恵だろうか。

母の写真がベッド脇に置かれている。
姉母は、誰よりも母に似ている。この頃は益々似てきた。
「はるちゃんによく似てきたね.そっくりだわ」と私が言うと、姉は喜ぶ。
90過ぎても親離れをしていない人である。
「お母さん大好きだから、嬉しい」のだそうだ。
自分の子供を持たない姉母は、何時まで経っても子供のままなのだろうか。
私が部屋を出る時は、いつも「気を付けて帰ってねー」が挨拶である。
今は私が母なのかもしれない。

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